更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:15 JST
スリーパー効果はアメリカの心理学者カール・ホブランドによって報告された心理効果です。
スリーパー効果は信頼性の低い情報にもかかわらず、時間の経過とともにその信頼性の低さが消えてしまい、その情報を信頼してしまう効果のことです。
スリーパーは「眠る者」という意味ですが、スリーパー効果で眠るのは情報の信頼性ということになります。
スリーパー効果の実験
スリーパー効果の提唱者のカール・ホブランドがスリーパー効果に気付いたのは、1940年代のプロパガンダ映画「なぜ我々は戦うのか」の扇動効果について研究したときです。
この映画を観た兵士達は9週間後には映画の内容の50%は忘れていましたが、映画のメッセージは残り肯定的に受けとめる者さえいたとのことです。
また、ホブランドは学生に対しても以下の実験を行っています。
- 抗ヒスタミン剤の功罪に関する学術書と大衆紙の記事を学生に読ませる
- 読む前に学術書を信頼できると答えた学生は約95%で大衆紙を信頼できるとした学生は約5%
- 自分が持っていた意見から学術書の意見に変えた学生が22.6%で、同じく大衆紙の記事と同じ意見に変わった学生は13.3%
- 同じ学生に4週間後同じ質問をしたら、学術書に同調した学生は6.5%減り、大衆紙に同調した学生は反対に6.7%増加した
上記の結果から、時間の経過で情報が正しいかどうかを判断するのは情報の信頼性ではなくなったことになります。
スリーパー効果の応用
スリーパー効果では信頼性は時間とともに物事の判断材料ではなくなっていきます。
そのため、会社内で若手が意見を通す場合に活用することができます。
若手の意見はなかなか上司には理解されず、門前払いとなる可能性が高いですが、スリーパー効果を利用して時間をかけることで意見が通る可能性があります。
元論その仕事に関する意見自体が、ある程度説得力や魅力が無ければ意味はありません。
つまり自信がある意見であれば時間をかけて説得することで、実績が無い若手の意見だと言うことが薄れていき、その意見の良さに気付く可能性が高くなります。