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ジンクピリチオン効果


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:17 JST

 

ジンクピリチオン効果とは

ジンクピリチオン効果とは、正式な心理学用語ではありませんが、「どのようなものかはわからないにもかかわらず、その言葉の語感だけですごいものだと思ってしまう心理効果」のことです。

ジンクピリチオン(Zinc Pyrithione)はフケや脂漏性皮膚炎に有効な成分で、シャンプーや化粧品に添加されています。

しかしその効能などがわからなくても言葉の発音だけでなんとなくすごいと感じる人が、特に日本では多かったようです。

このように言葉のインパクトだけによる効果をジンクピリチオン効果と呼んだのは、小説家の清水義範がパロディ短編集の「インパクトの瞬間」で提唱したと言われています。

一種のギャグとしてジンクピリチオンを引き合いに出しているので、心理学的な裏付けがある効果とは言えませんが、少なくても日本人にとっては言葉によるインパクトは理解できる人が多いでしょう。

ジンクピリチオン効果と同じような意味を持つ心理学用語としては「プラシーボ効果」があります。

こちらも有名な言葉ですが、薬だと信じて飲むことで何の効能もないものも薬と同じ効果を発揮するという心理効果です。

ジンクピリチオン効果の例

ジンクピリチオン効果を応用すると何の害がないものでも極めて危険な物質のように誤認させることが可能です。

もちろんその反対に何も効能がない物質をすごい効き目があると誤認させることもできます。

一酸化ニ水素の特徴

  • 水酸の一種で、常温では液体
  • サビの原因になり、様々な物質の腐食を進行させる
  • 時に重度のやけどを引き起こすことがある
  • 多量に摂取すると健康に深刻な症状を及ぼし、最悪、死に至ることもある
  • 水道水に多く含まれるが、日本の水道水質基準にはこの物質の規制はなく、成分として記載されることはない

上記の物質の特徴を読むとなぜ水道水に含まれているのかは理解できず、すぐに禁止物質にするべきだと考える人がほとんどしょう。

しかし「一酸化二水素」は「H2O」つまり水のことなので、まったく危険が無いどころか人間にとっては必要不可欠の物質です。

上記の文章は偏った特徴だけを記述していますが、「一酸化二水素」ではなく水やH2Oと記述していれば誰も危険だとは思わなかったでしょう。

これも言葉によるジンクピリチオン効果と言うことができます。

ジンクピリチオン効果は特に商品をアピールするキャッチコピーなどに利用されています。

たとえばビールのCMではよく「コクがある」という表現を使いますが、実際に「コク」がどういうもので、何の役に立っているのかさえ知っている人はいないでしょう。

ただ「コクがあるからうまい」と言われると語感だけでうまそうに感じてしまうのもジンクピリチオン効果の例です。

 

 

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