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二者択一法とは


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:14 JST

 

二者択一法とは

二者択一法とは、選択話法とも呼ばれていますが、相手に二者択一の質問を投げかけて、どちらを選んでも自分に都合のいい結果になる話法です。

二者択一話法は「ダブルバインド」や「選択肢の錯覚」とも呼ばれることがあります。

しかし、正確には二者択一法は選択肢の錯覚に由来しますが、ダブルバインドとは違うと考えましょう。

ダブルバインドは選択肢の錯覚からヒントを得て展開した別の理論です。

エリクソンの治療事例

まずは二社択一法ができる元になった選択肢の錯覚を考案したエリクソンの治療例を見てみましょう。

アメリカの精神科医エリクソンは、症状の緩和を第一に考えていたため患者にその原因や症状を自覚させることはしませんでした。

主に質問を与えたり課題を出したりして、患者がそれに取り組むことでいつのまにか症状が改善したと言われています。

エリクソンが患者へ行った質問は以下のような内容でした。

  • あなたはこの症状がなくなるのは、2週間と3週間、どちらの方が現実的だと思いますか?
  • あなたは今催眠状態に入りたいですか、それとも少し後がいいですか?

いずれの質問もどちらを答えてもその前提となる「症状がなくなること」や「催眠療法を受けること」を肯定することになります。

この質問をされた患者は、症状が改善されないことに悩んでいた患者でも、症状の改善ができることを認めることになります。

また、催眠療法には否定的な患者でも催眠療法を認めてしまうことになるのです。

日常生活での二者択一話法の例

二者択一法はよく忙しい主婦などが自然に使う話法と言ってもいいでしょう。

主婦としては急に好き勝手に食事を指定されないように、二択の選択肢を提示することがあります。

「お昼はうどんとそばのどっちがいい?」

上記のように、選択肢にない料理を指定されると食材を買いに行く手間が増えるときなどは、この話法を使うことが多くなります。

しかし、毎回二者択一法を使用していると相手に意図を悟られてしまうので、使う場合は前提となることを意識しながらも、あまり強調せずに自然な会話の流れの中で使うと長続きします。

ビジネスでの二者択一法の例

ビジネスで二者択一法を応用する場合は、いくつかのシーンが考えられますが、まずはセールスなどで商品を売りたい場合を考えてみます。

セールスでの二者択一法

まったく商品の購入意思がない客や、興味がない客に対して二者択一法は効果はありません。

少なくてもある程度興味があって、商品の選択に迷っている客に対して、買わないという選択肢を消去するために使います。

「商品Aと商品Bなら、3ヶ月くらい長持ちする商品Aがおすすめです。それとも、短期間で効果が強い商品Bの方をお求めですか?」

ABどちらを選んでも前提としての購入を肯定することになるので、質問に答えた時点でどちらかの商品の購入が決定することになります。

取引先とのアポイントを取るときの二者択一法

なかなかアポイントを取れない取引先に対して、二者択一法を使うとうまくいく場合があります。

「早ければ、来週の後半以降に貴社を訪問できます。次は再来週の後半になりますが、遅すぎるでしょうから、来週前半でも調整は可能です。来週前半と後半ならば前半の方がよろしいですか?」

訪問すると言うことも前提となりますが、なるべく早い時期に会いたいと言うことも前提とします。

遅い時期の返答だったとしても、相手には早く会いたがっているという意図を伝えることができます。

動きの鈍い部下を動かす二者択一話法

部下が自分で仕事の優先順位を考えて行動することが望ましいのは間違いありませんが、それが自分でできない部下に対しては二者択一法を使って後押しをすることができます。

「まず業務Cを終わらせるとして、そのためには作業Dからはじめるか、それとも作業Eから片付けた方が効率いいだろうか?」

ふつうは、上記のように前提となる「業務Cを終わらせる」ことを強調して言いたくなりますが、二者択一法では強調せずに以下のように質問することが重要です。

「業務Cを終わらせるには、作業Dからはじめるか、それとも作業Eから片付けた方が効率いいだろうか?」

前者の言い方をすると前提である業務Cを終わらせたいという意図が明確になってしまいます。

あくまでも強制されたのではなく、自然に業務Cを終わらせることを受け入れさせることが大切になります。

 

 

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