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ハイダーのバランス理論


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:13 JST

 

ハイダーのバランス理論は名称のとおり、心理学者のハイダーが提唱した心理学的な理論です。

この理論では人間関係において3者以上の関係が存在するとき、人はその関係の均衡が取れている状態を好み、バランスが取れていないときは均衡となるように関係を修復するという理論です。

ハイダーはこの理論をP-O-Xモデルと呼ばれるしくみを用いて説明しています。

バランス理論の概要

P-O-Xモデルでは3者の関係を以下のように定めています。

  • P:主体者(自分)
  • O:他者(相手)
  • X:共通の対象物、対象者
  • +:2者間の関係が好意的
  • -:2者間の関係が否定的

バランス理論では3者間の関係を±で表現しますが、3者の場合それぞれ3つの関係が存在します。

その関係の積(かけ算)がプラスになった場合「均衡」、マイナスの場合を「不均衡」と呼んでいます。(マイナスが2つあると積はプラスになる)

Pは不均衡の状態を負荷に感じるので積がプラスになるように調整しようとする、というのがバランス理論です。

バランス理論の具体例

P(私)、O(同級生)、X(野球)とした場合、以下の関係が考えられます。

均衡

A) PX、OXがともにプラスまたはマイナスで、POがプラス
私も同級生も、ともに野球が好きあるいは嫌いで、私が同級生を好んでいる

B) PXがプラスでOXがマイナス(またはその反対)で、POがマイナス
私は野球が嫌いで同級生は野球が好き(またはその反対)で、私が同級生を嫌い

1の場合はともにマイナスなのでトータルでマイナスが2つになりプラスに転じます。2の場合もマイナスが2つになるのでどちらも均衡の状態です。

関係性を考えても1は野球が好きな同士あるいは嫌いな同士なので、仲がよいと考えられます。

2は野球に対する好みが違うので仲が悪いと解釈できるので、どちらもバランスは取れています。

不均衡

1. PX、OXがともにプラスまたはマイナスで、POはマイナス
私も同級生も、ともに野球が好きあるいは嫌いで、私が同級生を嫌っている

2. PXがプラスでOXがマイナス(またはその反対)で、POがプラス
私は野球が嫌いで同級生は野球が好き(またはその反対)で、私が同級生を好んでいる

1では2人とも野球が好き、あるいは嫌いで好みが一致しているのに、2人の関係は悪いので不均衡となります。

2でも好みが一致しないにもかかわらず関係は良好なので不均衡と言えます。

バランス理論ではこうした不均衡が生じていると、いずれかの関係を変更して均衡を保とうとするようになるという理論です。

1の場合は同級生を好きになろうとするか、野球に対する好みを変えようとします。

2でも同級生を嫌うようにするか、野球に対する好みを変えようとするのです。

 

 

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