カチッ・サー効果

カチッ・サー効果(Automaticity)とは、ある働きかけによって深く考えることなしに、ある行動を起こしてしまう心理現象をいいます。

英語の直訳は「自動性」という意味ですが、日本語訳の「カチッ」はテープレコーダーの再生ボタンの音で、「サー」は何も録音されていないときの音(砂嵐の音)といわれています。

スイッチを入れると自動的にテープが回るような自動化された動きを表現しています。

カチッ・サー効果の実験

心理学者のエレン・ランガーはカチッ・サー効果の実験を以下の要領で行っています。

コピー機の順番待ちの先頭で以下の言葉で順番を譲ってもらう実験で、どの言葉に効果があったかを確認しました。

  1.  要求のみを伝える:「すみません、5枚ですが、先にコピーをとらせてもらえませんか?」
  2. 本物の理由を付け足す:「すみません、5枚ですが、[急いでいるので]先にコピーをとらせてもらえませんか?」
  3. もっともらしい理由を付け足す:「すみません、5枚ですが、[コピーをとらなければいけないので]先にコピーをとらせてもらえませんか?」

その結果順番を譲ってもらった割合は、

  1. 60%
  2. 94%
  3. 93%

でしたが、さらに5枚を20枚にして同じ言葉でお願いすると、

  1. 24%
  2. 42%
  3. 24%

という結果になりました。

つまり人にお願い事をする場合は、お願いする理由も伝えることで受け入れてもらいやすく、さらに頼み事がほんのささいなことであれば、適当な理由でも受け入れてもらいやすいことがわかりました。

カチッ・サー効果の具体例

マーケティングではカチッ・サー効果を応用したと思われる手法をいくつか見かけます。

物品販売ではよく「数量限定」「期間限定」という宣伝文句を目にしますが、これもカチッ・サー効果を応用していると言えます。

カチッ・サー効果はお願い事に理由を付けると効果があるというものです。

「限定品」は購入しないと将来購入できなくなるという理由づけになります。

限定品としていつでも買えるわけではないという理由を付けてあげることで、消費者は購入しやすくなります。

セールスマンなどはカチッ・サー効果を十分に活用していると言えるでしょう。

むしろ利用しなければ売れません。

基本的にすごく欲しい商品であればセールスがいなくても勝手に商品は売れてしまいますが、セールスマンが売る商品はそれほどニーズがない、あるいは欲しいと思われない商品が多いのです。

そこでセールスマンは商品を売るために、あらゆる理由を付けたセールストークを展開します。

有名人も使っている、キャンペーン期間中でお得といった、後でこういう理由があるから買ったという消費者がいい訳できる理由を与えるのがセールスマンの手法と言えるでしょう