更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:15 JST
ゼロサム・バイアスとは
ゼロサム・バイアスとはゼロサム思考とも呼ばれていて、誰かが得をしているときには必ず誰かが損をしているという考え方のことです。
実際の状況がそうではない場合でも、相手の得が自分の損になってしまうと感じてしまいます。
ゼロサム思考を次のように定義している人もいます。
「ある社会や文化圏の人びとが、世界に存在する品物の数には限りがあるという暗黙の仮定にもとづき共有する、社会関係上相反する性質に対する一般的な思考体系」
ゼロサム・バイアスの例
ゼロサム・バイアスは日常生活のあらゆる場面で見ることができます。
以下のようなケースがその代表的な例となります。
- 一定の基準をもとに合格不合格を決める場合でも、相対評価のように感じてしまいライバルを蹴落とすと自分が合格する率が高くなると感じる
- 移民が増えると、自分たちの職が失われると感じる
- 一夫多妻制度を否定するのも、自分が対象とする恋愛相手が少なくなるというゼロサム思考
- スキルを多く持つほどひとつひとつのスキルのレベルが低いと考える「多芸は無芸」と言う考え
ゼロサム・バイアスの原因
ゼロサム・バイアスの原因としては、限りある資源を奪い合っていた時代の名残という考え方もあります。
特に先史時代では人の行動範囲も狭いため、食料も奪い合いの時代が長く続いていました。
その結果、自分や自分の共同体以外の人間が食料を得ることは、自分たちの食料が減ることにつながります。
それがゼロサム・バイアスの起源とも考えられます。
また、現代においても国民総生産の少ない国の住民ほど、ゼロサム・バイアスが強いことから、資源や財産、仕事の量は有限で固定化していると考える傾向が強くなります。
こうした政治や経済の問題が原因となることもあります。
ゼロサム・バイアスの影響
ゼロサムの状況だという意識が強いほど、他人を競争相手と考えることになります。
そうなると学生同士が協力することもなくなり、移民を受け入れるという考えもなくなってしまいます。
その結果、不公平な社会となってしまう可能性もあります。
誰かが得をすれば自分が損をするというゼロサムの考え方をしているときは、その状況が本当にゼロサムなのかを客観的に考えてみる必要があります。
移民が増えれば仕事がなくなるのではなく、仕事を募集しても人が集まらない職種は必ずあるので、移民にはその職種で働いてもらうことで解決できると考えることもできます。
このようにゼロサムと思えることでも必ずしもそうではないと気付くことで、ゼロサム・バイアスの問題を解決できます。