更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:12 JST
ピグマリオン効果とは、教師の期待によって生徒の成績が向上する教育心理学での心理的行動のひとつです。
教師期待効果やローゼンタール効果とも呼ばれています。
ピグマリオンはギリシャ神話に登場する彫刻家で、自分が作った彫像に恋をしてしまい、神もその彫像に命を吹き込むという逸話があります。
作り手の思いが彫刻に命を吹き込んだという逸話から、教師の期待が現実になるという意味でピグマリオン効果の由来となりました。
また、ローゼンタールはこの効果を提唱した心理学者の名前です。
ピグマリオン効果の実験
ローゼンタールがピグマリオン効果を提唱することになったのは、1963年のネズミを使った実験がきっかけです。
ネズミの迷路実験
ローゼンタールは学生を2つに分けてそれぞれに以下の説明をしたネズミを渡して迷路の実験を行わせました。
A) よく訓練された賢いネズミだと説明
B) 訓練されていないのろまなネズミと説明
するとAのグループはネズミを丁寧に扱い、Bのグループはネズミをぞんざいに扱いました。
その結果Aのグループのネズミの成績がよくなりました。
教育現場での実験
1964年にサンフランシスコの小学校でイパン的な知能テストを実施しました。
テスト後に教師に対して生徒の名簿を見せて「テストの結果これらの生徒がこれから成績が向上します」と説明しました。
生徒の名簿はランダムに選んで作成したもので、実際の成績には関係ないにもかかわらず、名簿に記載された生徒の成績がその後向上しています。
この実験では教師が明らかに特定の生徒に期待する言葉をかけ、生徒もその期待に気付いたことが成績の向上に結びついたと結論づけています。
ピグマリオン効果の応用例
ピグマリオン効果は教育の場だけではなく、ビジネスなどでの職場教育や上司の指導にも応用することができます。
相手に期待をすることで効果を発揮するのがピグマリオン効果ですが、単に期待する言葉を言うだけでは効果はそれほど期待することはできません。
上司が部下を育てる場合にピグマリオン効果を期待する場合は、以下の点に注意する必要があります。
- 部下が自主的に行動することを肯定する
- すぐに結果を期待しないで長い目で見る
- 部下が思ったとおりに行動できなくても、指示が伝わっていない可能性を考えて、わかりやすい指示を心がける
- 行動の途中でヒントを出す
- 要所でほめることでやる気を引き出す
上記はピグマリオン効果が期待できる行動の例ですが、反対に以下のことはやってはいけない例になります。
- 部下に対して過度な期待をかける
- 部下が行動している途中で細かい指示や命令などで口出しをする
- 期待通りの行動ができないことに、いらついたり怒ったりする