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マズローの欲求5段階説


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:09 JST

マズローの欲求5段階説とは

マズローの欲求5段階説とは、心理学者のアブラハム・マズローが「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものです。自己実現論とも呼ばれています。

マズローは人間の欲求には5段階ありピラミッド型に形成されていて、下から順番に欲求を満たすことによって最終的な欲求が満たされるとしています。

最終的な欲望が満たされることで自己実現が達成され、自己実現者になるという理論です。

その5段階の欲求を下から順に説明します。

生理的欲求

生理的欲求は生きていくために必要な本能的な欲求を意味します。

具体的には食欲、睡眠欲、排泄欲などが生理的欲求になります。

これらの欲求は生きていく上で必然的に満たされていくので、動物でもこの段階の欲求は満たしていることになります。

しかし、現代社会では環境によって、先進国に居住していても睡眠不足などは普通に存在しています。

自己実現に向かって成長するためには、まずは原始的な欲求を確実に満たすことが必要です。

安全の欲求

安全の欲求は、心身ともに健康でかつ経済的にも安定した暮らしをしたい欲求のことになります。

自分の身の安全が確保できなければ、より高い欲求を満たすことは考えることさえできないでしょう。

現代社会では経済的な安定がなければ、身の安全を確保することはできません。

反対にある程度経済的に安定すればこの欲求は満たすことができます。

自分自身が経済的に安定する必要はないので、親に保護されていると感じられれば子供でもこの欲求は満たすことができます。

そのため、安全の欲求は特に幼児によく見られる欲求で、年齢とともになくなっていく欲求です。

社会的欲求

社会的欲求は友人や家族、会社などの集団から認められたいという欲求です。

集団への帰属や愛情を求める欲求なので、「帰属欲求」と表現されることもあります。

衣食住が満たされてある程度生活が維持できるようになると、社会や集団に求められてより安心できる生活を求めるようになります。

個人だけでは難しいことも集団に属することで、より大きな安全が得られると考えるからです。

社会的欲求が満たされない場合は、孤独や不安を感じることになりメンタルのバランスを崩すこともあります。

承認欲求

承認欲求は、集団の一員となった自覚がある人が求める欲求で、他者から尊敬されたい認められたいという欲求のことです。

集団の一員として安心して生活できるだけでは満足せず、その中でも認められる存在になりたいという欲求なので、会社での出世欲も承認欲求のひとつです。

5段階の欲求の中でも2番目に高度な欲求となるので、承認欲求からは自分の内面、心の欲求を満たしたいという欲求に変わります。

承認欲求はSNS等で目立とうとしている人を思い起こすことも多く、あまりよいイメージを持っていないかもしれません。

しかし、行動するモチベーションにもなる重要な欲求です。

なお、承認欲求にはそのレベルによって以下の2つの承認欲求があります。

他者承認欲求(低位の承認欲求)

第三者からの注目や称賛によって欲求が充足される。

自己承認欲求(高位の承認欲求)

自分で自分を認めたいという欲求。自分の能力を高めたり自己肯定感を高めたりすることで充足される。

自己実現欲求

自己実現欲求は人として最もレベルが高い欲求となります。自己承認欲求をさらに推し進めて、自分が理想とするあるべき姿になりたいという欲求です。

自己実現欲求は最終段階の欲求で「存在欲求」と呼ばれ、他の4つの「欠乏欲求」とはレベルが違うとされます。

すべての欲求を実現した「自己実現者」と呼ばれ、以下の15の特徴を持つと言われています。

  • 現実をより有効に知覚しより快適な関係を保つ
  • 自己、他者、自然に対する受容
  • 自発性、素朴さ、自然さ
  • 課題中心的
  • プライバシーの欲求からの超越
  • 文化と環境からの独立、能動的人間、自律性
  • 認識が絶えず新鮮である
  • 至高なものに触れる神秘的体験がある
  • 共同社会感情
  • 対人関係において心が広くて深い
  • 民主主義的な性格構造
  • 手段と目的、善悪の判断の区別
  • 哲学的で悪意のないユーモアセンス
  • 創造性
  • 文化に組み込まれることに対する抵抗、文化の超越

自己超越

マズローは晩年、6段階目を発表していますが、それが「自己超越」です。

マズローは自己超越者と思われる12人を調査し以下の特徴があると発表しています。

  • 「在ること」の世界について、よく知っている
  • 「在ること」のレベルにおいて生きている
  • 統合された意識を持つ
  • 落ち着いていて、瞑想的な認知をする
  • 深い洞察を得た経験が、今までにある
  • 他者の不幸に罪悪感を抱く
  • 創造的である
  • 謙虚である
  • 聡明である
  • 多視点的な思考ができる
  • 外見は普通である

 

 

 

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