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セルフ・エフィカシー


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:06 JST

セルフ・エフィカシーとは

セルフ・エフィカシーとは、カナダ人心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念で、自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると自分の可能性を認知することです。

日本語では「自己効力感」や「自己可能感」と訳されています。

自尊心と似ている面がありますが、自尊心は自分を信じていることが土台となりますが、セルフ・エフィカシーは目的達成能力が自分にあることを信じているのではなく、認知しているという点で違いがあります。

信じるには多少の期待も含まれますが、認知しているのは存在を感じていることになるので、セルフ・エフィカシーは自尊心より強い感覚と言うことができます。

つまりセルフ・エフィカシーが高い人ほど自分が達成できるという確信を持てることになり、反対にセルフ・エフィカシーが低いと自分にはできないと考えることになります。

社会的学習理論とセルフ・エフィカシー

セルフ・エフィカシーの提唱者バンデューラは「社会的学習理論」という仮説を立てました。

社会的学習理論は他者の影響を受け、慣習や行動、価値観をインプットする理論と言われています。

バンデューラは「ボボ人形実験」と呼ばれる以下の実験を行って社会的学習理論という仮説を構築しました。

ボボ人形実験は大人(親)が人形に対して行った行動を子供に見せることで、その後の子供が取る行動がどう変容するかを分析する実験です。

人形に対し、殴るなどの乱暴な行動を働いた親を見た子供は少なからず影響を受け、親の行動が子供の行動選択に影響を与えることが明らかになりました。

この実験を元に立てられた仮説「社会的学習理論」では、「結果要因」「先行要因」「認知的要因」の3つが人間の行動の要因とされています。

その中のひとつ先行要因には「予期機能」があり、さらに「効力予期」と「結果予期」の2つがあります。この2つからセルフ・エフィカシーという概念をバンデューラは考えました。

  • 効力予期:望む結果のために必要な行動を自分自身が遂行できるという予期機能。
  • 結果予期:過去の経験や知識に基づき、行動を起こした先の結果を推測する予期機能。

セルフ・エフィカシーの3つのタイプ

セルフ・エフィカシーには以下の3つのタイプがあります。

自己統制的セルフ・エフィカシー

最もスタンダードなセルフ・エフィカシーです。具体的には、失敗しても立ち直る力があり、プレッシャーに負けず集中力を高めたりできる、行動をコントロールするセルフ・エフィカシーとなります。

社会的自己セルフ・エフィカシー

人間関係におけるセルフ・エフィカシーのことで、友人・知人、家族だけでなく職場での上司や部下とのコミュニケーションもうまくできるという認知をもたらします。

学業的自己セルフ・エフィカシー

学びに関するセルフ・エフィカシーです。これがあることで目標達成に必要な知識の習得ができ、専門用語への理解も可能になります。

セルフ・エフィカシーを高める方法

セルフ・エフィカシーが高い人には以下のような特長があります。

  • 新しいことに積極的に挑戦できる
  • 行動が早い
  • ミスをしても落ち込むことが少ない
  • できない言い訳よりも、どうすればできるかを考える
  • 前向きな発言が多い
  • 周りから学ぶ姿勢を常に持っている

上記のようにセルフ・エフィカシーが高いことで様々なメリットがありますが、どのようにセルフ・エフィカシーを高めたらいいのでしょうか。

セルフ・エフィカシーを高めるためには以下の5つが大切だと言われています。

成功体験

自分自身が現実的に成功するという体験は、もっともセルフ・エフィカシーを高める効果が高くなります。

代理経験

自分自身の成功でなくても、自分によく似ているモデルとなるような人物が成功しても自分にもできるという自信につながるので、疑似成功体験をすることも効果的です。

言語的説得

自分が信頼を置いている人からのはげましや高い評価によってもセルフ・エフィカシーを高めることができます。

生理的情緒的高揚

自分自身の気分を高めることでもセルフ・エフィカシーを高めることが可能です。スポーツ選手が試合前に音楽を聴いて気分を高揚させるように、自分に合った方法を探してみましょう。

想像的体験

いわゆるイメージトレーニングで成功したときの自分の姿を想像するだけでもセルフ・エフィカシーが高まります。

 

 

 

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