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ダブルバインド


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:14 JST

 

ダブルバインドとは

ダブルバインドとは、日本語では「二重拘束」と訳され、2つの矛盾した命令を他人にすることで相手の精神にストレスがかかる状態のことを言います。

アメリカの精神科医グレゴリー・ベイトソンが1956年に提唱しています。

わかりやすい例としては親が子供に矛盾した言葉を投げかけることです。
「早く宿題をやりなさい」
「こっちに来て手伝って」
上記の矛盾する命令を間を置かずに言ったとしたら子供は混乱します。この状態がダブルバインドです。

ダブルバインドが発生する条件

ダブルバインドは以下の条件で発生します。

  1. 2人以上の関係者の存在
  2. 最初のメッセージと、最初のメッセージを否定するメッセージを伝える
  3. メッセージを伝えられた人がどちらのメッセージに従っても罰があると感じる
  4. メッセージを伝えられた人がメッセージの矛盾から逃げられなくなる
  5. メッセージを伝えられた人がダブルバインド状態であることを認識する
  6. メッセージを伝えられた人がダブルバインドによりストレスを感じる

条件が多いように感じますが、関係者の一人が子供や相手に逆らえない立場の人間であれば、ダブルバインドが発生する可能性は高くなります。

また、メッセージが矛盾する例としては日本での本音と建て前があります。

たとえば、「そろそろ帰らないと家の人が心配しない?」と言った場合「早く帰って欲しい」という本音が隠れている可能性があります。

しかし、質問された側が建て前と本音を理解して、本当に言いたいことを察した場合はダブルバインドは発生しません。

この建て前のように裏に隠されたメッセージがあることを「メタメッセージ」と呼んでいます。

職場におけるダブルバインドの例

親子関係とともに職場での上司と部下の関係でもダブルバインドがおきやすくなります。

上司が「わからないことがあればいつでも質問しなさい」と 部下に伝えることはよくあります。

しかし、部下が実際に質問したときに「自分で考えてみなさい」と言われることもよくあることです。

このとき部下にはダブルバインドが発生する可能性が高くなります。

また仕事でミスをしたときに上司から「どうしてこうなったか言ってみなさい」と言われたとします。

そのときにミスの原因を説明すると「言い訳をするな」と言われてしまうと、ダブルバインドになる可能性があります。

このようにどちらに対応しても不正解になってしまう場合は否定的ダブルバインドと言います。

ダブルバインドの活用

ダブルバインドが発生すると相手に混乱を与えてしまうのでデメリットしかないように思えますが、ダブルバインドを活用することも可能です。

否定的ダブルバインドは相手を混乱させますが、肯定的ダブルバインドと呼ばれているダブルバインドは応用ができます。

催眠療法家で心理学者のエリクソンがダブルバインドを催眠療法の手法として活用したことから、エリクソニアン・ダブルバインドや治療的ダブルバインドとも呼ばれています。

具体的には「あなたには無限の可能性があることに気付いていますか?」という質問は、肯定しても否定しても無限の可能性を認めることになります。

  • 答えがイエスの場合:無限の可能性に気付いている
  • 答えがノーの場合:気付いていないが無限の可能性が存在することは認めている

この質問を利用することで相手を自分が意図する方向に導くことができます。

よく使われているのは「中華とイタリアンのどっちが好き?」というように選択肢を絞って質問する方法です。

和食やフレンチは高いのでそれ以外の料理をおごりたい場合に活用することができます。

 

 

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