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利用可能性ヒューリスティック


更新日:Thursday, 23-Mar-2023 04:05:54 JST

 

利用可能性ヒューリスティックとは

利用可能性ヒューリスティックとは、人が意思決定をするときには、よく見かけるものや印象に残っているものを基準に選択をする意思決定法のことです。

ヒューリスティックは認知心理学の中の意思決定をする思考法のひとつで、自分の成功や失敗の経験から「たいていの場合うまくいく」と思われるものを選ぶ思考方法です。

その中でも頻繁に耳にしたり目にしたりする情報を基準にするのが「利用可能性ヒューリスティック」です。

利用可能性ヒューリスティックは、認知心理学者のエイモス・トベルスキーと、ノーベル経済学賞受賞者である認知心理学者のダニエル・カーネマンの共同研究によって発見されました。

利用可能性ヒューリスティックの例

たとえば次の問題に対しての選択方法には、利用可能性ヒューリスティックが使われます。

「Rが最初にくる単語と、Rが3番目にある単語のどちらが多いか?」

この問題を考えるときにほとんどの人は、具体的な単語をいくつか思い出してみるはずです。

その結果Rが最初の単語の方が思い出しやすいため、ほとんどの人がRが最初の単語の方が多いと答えるのです。

しかし、実際にはRが3番目にくる単語の方が多いというのが正解です。

利用可能性ヒューリスティックの特徴

利用可能性ヒューリスティックという判断方法の特徴は、決断までの時間が早いという点です。

提唱者の一人のカーネマンは著書の中で、「思い出しやすさ、入手しやすさに基づいた判断方法」と表現しています。

人が意思決定をするときはどの思考方法を使うのかも無意識のうちに判断しています。

論理的な判断が必要だと判断すると、論理的な思考方法の「アルゴリズム」を選択します。

しかし、日常では利用可能性ヒューリスティックを選択することがほとんどです。

たとえば、スーパーやコンビニで日用品の買い物をするときには、ほとんど時間をかけずに商品を選択しています。

このときも利用可能性ヒューリスティックで判断しています。

このようにいつも使っているものを選んだり、CMで気になったものを選んだりするときは、論理的ではなく直感的に思考しているから、アルゴリズムは使わすに利用可能性ヒューリスティックを使用するのです。

利用可能性ヒューリスティックの応用

利用可能性ヒューリスティックをマーケティングで応用する場合は、単純接触効果を意識する必要があります。

特に日用品などの販売では論理的な思考法で選択することはせず、直感的な思考法で商品を購入します。

単純接触効果は接触回数が多いほど好感度が高まる効果なので、CMなどでなじみのある商品ほど購入される可能性が高くなります。

利用可能性ヒューリスティックを商品販売に応用する場合は、商品の露出を高めることを考慮しましょう。

企業が高いCM料金を支払ってでもTVCMにこだわるのは、結局TVCMが最も商品の露出という面で効果があるからです。

その結果、単純接触効果が高くなり、利用可能性ヒューリスティックによって自社商品が選択される可能性が高くなるからです。

 

 

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