トップページへ

エクスプレッシブ・ライティング


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:22 JST

エクスプレッシブ・ライティング(Expressive Writing)は1980年代にアメリカの社会心理学者ペネベーカー博士が心的外傷後ストレス障害への対処を目的に開発したものです。

日本語では「筆記開示法」と呼ばれています。

エクスプレッシブ・ライティングの方法

心的外傷後ストレス障害(PTSD)への対処法として実践されたエクスプレッシブ・ライティングの方法は以下のとおりです。

  1. 3~5日間連続で1日20~30分程度、自分のストレス経験に対する感情や思ったことを書き出す。
  2. 句読点、スペル、文法に注意は必要なく正しい文章じゃなくても良い
  3. 書くことがなくなったら、すでに書いたことを繰り返す
  4. 自分のために書くので、開示する必要はない
  5. 書けないと思ったら書かかず、自分を追い詰めない

上記のエクスプレッシブ・ライティングをしたことで最初は悲しみの感情がわいたり、落ち込んだりしますが、1~2時間でその感情は消えました。

結果として通院回数が減ったり、白血球が増加したりと良い傾向があり、症状の軽減に効果的な可能性があると判断されました。

エクスプレッシブ・ライティングの応用

エクスプレッシブ・ライティングは治療としてではなく日常生活への応用としても利用することができます。

やり方は毎日20分自分の不安や悩みを紙に書き出すというもので、簡単に始めることができます。

期待できる効果には以下のものがあります。

  • 気持ちがスッキリする
  • 問題解決のヒントが得られる
  • 客観的に自分を見ることができる
  • ストレスの軽減
  • 感情のコントロールができる

ただし、エクスプレッシブ・ライティングを日常生活に応用することには否定的な意見もあります。

反対意見を注意点として次にまとめておきましょう。

エクスプレッシブ・ライティングの注意点

エクスプレッシブ・ライティングに否定的な意見として、
「ネガティブなことを書き出すことによってネガティブな記憶を強めてしまう。その結果嫌な記憶や感情を忘れられなくなるからやめたほうがいい。」という意見があります。

紙に書き出すという手法は短期的な記憶を長期的な記憶に変換する方法として利用されるので、反対派の意見は的を射ています。

80年代の実験では良い結果を得られたのに、反対派のようなことが起きてしまうのは、エクスプレッシブ・ライティングによって書き出す内容に違いがあるからです。

エクスプレッシブ・ライティングで書き出すのは自分が抱える不安や悩みについてであって、過去の強烈な怒りや苦しみ、悲しみといった感情ではありません。

同じネガティブな感情でも、以下のような過去の嫌な記憶につながる強い感情をエクスプレッシブ・ライティングで書き出すと、逆効果になるので注意しましょう。

  • 怒り
  • 後悔
  • 悲しみ
  • 混乱
  • 嫌悪
  • 恐怖
  • 愚痴

エクスプレッシブ・ライティングは上記の強い感情を消すためではなく、悩みや不安といった軽い感情を解決するために利用しましょう。

 

 

 

■あわせて読みたい
1 インナーチャイルド
2 インポスター症候群
3 バーナム効果
4 マグネット効果
5 ハード・トゥ・ゲット・テクニック
6 集団思考
7 自己距離化
8 透明性の錯覚
9 ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
10 エトーレの法則
11 ハインリッヒの法則
12 埋没費用効果
13 プレモータム・シンキング
14 Zの法則
15 引き寄せの法則
16 マクレランドの欲求理論
17 イエス・アンド法
18 希少性の原理
19 錯誤帰属
20 ウェグナーの実験

 

■マイナー心理学用語