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透明性の錯覚


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:05 JST

 

透明性の錯覚とは

透明性の錯覚とは、第三者は自分が考えていることを実際よりもわかっていると錯覚する心理のことです。

心理学者のトーマス・ギロビッチらが提唱しました。

たとえば、結婚披露宴のスピーチで自分は緊張していたにもかかわらず、友人からは緊張しているようには見えなかったと言われたときなども透明性の錯覚に陥っています。

つまり本来であれば他人の心の中は誰もわからないはずなのに、自分の心は周囲から見透かされていると錯覚してしまうのが透明性の錯覚です。

また、反対に自分の気持ちは十分に相手に伝わっている、あるいは自分の考えは相手に理解されていると思うことも透明性の錯覚のひとつです。

相手に伝わって欲しいときも伝わって欲しくないときも透明の錯覚は起こります。

透明性の錯覚の実験

透明性の錯覚の実験には、日本のTV番組によくある罰ゲームの内容と同じことが行われています。

被験者はそれぞれジュースの入ったコップを与えられますが、その中のひとつには塩入りのまずいジュースがひとつだけあります。

そのジュースを10人の観察者に悟られないようにするという内容です。

実験では被験者にどれくらいの人数の人にバレたのか予想させていますが、被験者は平均で3.6人にバレていると回答しています。

実際には確率通りの2名にしかバレていませんでした。

透明性の錯覚の例

透明性の錯覚には日常的に以下のような具体例があります。

  • 夫婦や恋人同士、あるいは家族の間でも相手が自分の気持ちをわかっていないと感じる
  • 自分の表情から自分が嘘をついていることがわかってしまうのではないかと思う
  • 片思いの人に対してデレデレしてしまったことで、自分の思いが相手にわかってしまった考える

上記のいずれの場合も、相手に自分の気持ちが思ったよりも伝わっていない結果となっています。

そもそも他人の心はハッキリと読めないことは自分の経験からもわかるはずですが、なぜ自分の心だけは他人にわかられてしまうと錯覚するのでしょうか。

透明性の錯覚が起こる理由

透明性の錯覚が起こる原因は、相手が自分のことを判断する材料として、自分の認識を基準にしているからです。

相手の心の中はハッキリわからないので、何らかの基準から相手の考えや心を推測することになります。

そのときの基準が自分となります。

自分のことは自分がよくわかっているので基準にしますが、自分と相手とでは理解度が大きく違うので、-方向に修正を加えることになります。

具体的には自分よりはわかっていないけれどもこの程度はわかっているはずと考えます。

この修正の段階でほとんどの人が失敗してしまうことが、透明性の錯覚の原因と考えられます。

 

 

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