更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:03 JST
コントロール幻想とは
コントロール幻想とは、客観的に考えると自分では一切コントロールできないことに関して、あたかも自分がコントロールできるかのように感じてしまう心理的な傾向のことを言います。
英語では「The Illusion Of Control」と呼んでいます。
最も代表的な例が、宝くじで自動的に数字が決められるよりもロトやナンバーズのように自分で数字を選択できる方が当たりやすい、と考えてしまうことがコントロール幻想です。
コントロール幻想の例
コントロール幻想の例は宝くじだけではなく様々なシーンでよく見られます。
よく晴れ男、雨男、晴れ女、雨女と自分自身で言っている人がいますが、これもコントロール幻想のひとつです。
天候をコントロールできるならば、台風や洪水で苦しむ人はいないはずですが、「わたし、雨女だからイベントがあると必ず雨が降るの」と言う人は結構身の回りにいるのではないでしょうか。
ギャンブルでも「大穴がしばらくでていないからそろそろ来る」というように、まるで流れが決まっているかのように考えるのもコントロール幻想です。
身近なところではいわゆるジンクスもコントロール幻想と言えるでしょう。
コントロール幻想の実験
コントロール幻想を1965年に提唱したジェンキンスとウォードは以下の実験を行っています。
彼らは、被験者にスイッチを持たせて、ライトの灯りを点けたり消したりするという実験を行いました。
ただし、被験者が持っているスイッチと、ライトの灯りが点くことには、何の関連性もありませんでした。
それにも関わらず、被験者は自分たちがライトの灯りをコントロールしている、と思い込んでいました。
つまり、人間のコントロール機能には、思い込みが働くことがあるということが実験によって明らかになったのです。
もうひとつの実験は老人ホームで行われました。
高齢者2つのグループに分けて部屋の模様替えをしましたが、ひとつのグループでは高齢者に部屋の模様替えの選択権を与え、もうひとつのグループには与えませんでした。
その結果、自ら模様替えのコントロールをしたグループの高齢者は、他のグループと比べて1年半経過しても元気に過ごしていることがわかりました。
つまり、何かをコントロールすることは人体に何らかのプラスがあると考えられます。
コントロール幻想の要因
コントロール幻想は以下の4つの要員が減員で形成されると言われています。
選択機会
自分で選べるものはコントロール幻想が起きやすくなります。
たとえば同じ宝くじでもナンバーズやロトは意図して当てることができると錯覚してしまう人がいますが、当選する確率が高くなるわけではありません。
関与
選択だけでなく、関与することでもコントロールできると勘違いすることもあります。
宝くじのケースでたとえると購入場所に関与する、つまりよく当選が出る販売店で購入することでコントロールできると考えてしまいます。
親近性
身近なものの方がコントロールできるように思えるのが親近性です。
デジタルでの抽選よりもアナログな抽選器の方が当たりやすく感じたり、読めない文字で書かれている海外のくじは当たりそうにないと感じたりするのが代表的な例です。
競争
自分以外の宝くじ購入者をライバルとみなして、ライバルよりも過去のデータなどを熱心に研究すれば当選確率が上がると考えるのが競争の要素です。
もちろんいくら研究しても確率を上げることはできません。
コントロール幻想の応用
コントロール幻想で仕事などに対する意欲を高めることは可能かもしれませんが、あくまでも幻想にすぎないので結果には確実に結びつきません。
むしろ、コントロール幻想という存在を知っておくことで、客観的なものの見方をしなくてはいけないと学ぶことが、コントロール幻想の応用としての意味があります。
また、コントロール幻想の存在から確率や期待値について学び、ギャンブルそのものが割に合わないと言うことを認識することも、コントロール幻想の応用と言えるでしょう。