アフォーダンス理論

アフォーダンス理論のアフォーダンス(affordance)はアメリカの心理学者ギブソンが作った造語です。

元になった言葉「afford」には「与える」「提供する」という意味があります。

この理論は環境が動物に対して与える意味に関する生態心理学の基本概念として提唱されたものです。

しかし、同じアメリカの認知学者アーサーは、ギブソンのアフォーダンス理論を拡大解釈して別の意味として世間に広めた結果、現在ではアーサーが提唱するアフォーダンス理論が一般的となっています。

アフォーダンス理論の概念

ギブソンのアフォーダンス理論

ギブソンのアフォーダンス理論ではアフォーダンスは環境が動物に与える「意味」としてアフォーダンスが使われています。
たとえば、引き手の付いたタンス(環境)が人(動物)に対して与える意味は次の通りとなります。

  • 人はタンスを引いて開けるという行為が可能です。つまり、このタンスと私の間には引いて開けるというアフォーダンスが存在します。

この理論では引いて開けるという行為そのものが問題となるので、人が引いて開けることを認識しているかどうかは問題ではありません。

アーサーのアフォーダンス理論

これに対してアーサーのアフォーダンス理論は、アフォーダンスは物に備わった「人が知覚できる行為の可能性」という意味で使われています。

そのため、このアフォーダンス理論はユーザーインターフェイスやデザインの分野で使われています。

  • 引き手のあるタンスは、引いて使うという物の取扱についての強い手がかり(アフォーダンス)を示しています。

アーサーはギブソンのアフォーダンス理論を誤用したといわれていて、後の著書では「本来のアフォーダンスではなく[知覚されたアフォーダンス]と読み替えるべきだ」と記述しています。

それでは本来のアフォーダンス理論と誤用されたアフォーダンス理論では、具体的にどのような違いが生じてしまうのでしょうか。

ギブソンとアーサーのアフォーダンス理論の違い

デザインでのアフォーダンスの失敗例としてよくいわれるが、わざわざ文字で指示しなければ使うことができない物が挙げられます。

ボタンを押すとコーヒーを注ぐコーヒーメーカーがあるとして、そのボタンが明らかに押すことによってコーヒーが注がれることを明示していなければ、アフォーダンスしていないことになります。

しかし、これはアーサーが誤用したアフォーダンスの失敗例であって、本来の意味のアフォーダンスでは成り立っているのです。

本来のアフォーダンスではコーヒーメーカーのボタンはコーヒーを注ぐ可能性を示していればいいので、人がそれを知覚や認識できる必要はありません。

実際にボタンを押してコーヒーが注げればアフォーダンスが存在するのです。

実際にアフォーダンスという言葉が含まれる文章を読むときなどは、その違いを認識してどちらの意味で使っているのかも理解する必要があるので注意しましょう