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合接の誤謬


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:03 JST

 

合接の誤謬とは

合接の誤謬とは、2つ組み合わせた方がひとつのときよりも可能性が高い、もっともらしいと感じてしまうことを言います(Conjunction Fallacy)。

合接は論理学の用語で「2つの命題がどちらも真」という意味です。

合接の誤謬は「連言錯誤」とも呼ばれていますが、エイモス・トベルスキーとダニエル・カーネマンが提唱しています。

彼らが行った実験は「リンダ問題」と呼ばれています。

合接の誤謬の実験

合接の誤謬に関する実験を2つ紹介します。

リンダ問題

カーネマンは被験者に対して以下の問題を出しました。

リンダは31才の女性です。独身で率直な性格で、とても聡明です。大学では哲学を専攻していました。

また、学生時代には「差別」や「社会正義」などの問題に深く関心を持ち、反核デモにも参加しました。

これを踏まえて、以下のふたつの選択肢のうち、どちらの可能性がより高いか?

  1. リンダは銀行窓口係である。
  2. リンダは銀行窓口係で、フェミニスト運動に参加している。

実験の結果、大多数の被験者が2を選んでいますが、より限定されていない1の方が正解と考えた方が合理的です。

問題ではフェミニストである根拠は示されていませんが、「差別や社会正義などの問題に深く関心を持ち」の部分が、リンダの特徴として象徴的なフェミニストを連想させます。

また、2の選択肢は1よりも具体的であることから、1よりも2の可能性が高いと間違った判断をさせたのです。

その他の問題

合接の誤謬に関しては幾つもの問題が考えられていますが、もうひとつ問題を紹介します。

◆問題
90歳の男性がいたとします。彼は癌が全身に転移しており、「助かる見込はない」と医師は判断しています。

すでに手術などの措置を断念しており、意識がはっきりしていません。

これらを踏まえて、次のどちらが起こる可能性がより高いでしょうか。

1. 彼は1週間以内に亡くなる
2. 彼は1年以内に亡くなる

合理的に考えると1の答えは2に含まれているので、可能性が高いのはどちらかと問われれば、正解は2となります。

しかし、多くの人は問題文によってすぐにでも老人が死んでしまうような印象を受けてしまいます。

そのことが確率や可能性の問題であることを忘れさせてしまい、合接の誤謬を生じさせてしまうのです。

 

 

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