更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:08 JST
ローボール・テクニックとは
ローボール・テクニックとは、最初に好条件だけを提示して相手の承諾を得た後に、相手にとって都合の悪い条件を付け加えたり、先に提示した好条件の一部を取り除いたりする交渉術のことです。
特典除去法や承諾先取り法とも呼ばれています。
最初に受け取りやすい低いボールを投げてから、だんだん高いボールに変えていくことからこの名称となっていますが、実質的には人をだますためのテクニックと言ってもいいでしょう。
実際にローボール・テクニックを利用した詐欺などの実例もあります。
たとえば、飲食店などで2,000円飲み放題につられて入店してから、サービス料やチャージ料などの追加料金があることを知らされた経験がある人もいるでしょう。
これも典型的なローボール・テクニックです。
ローボール・テクニックにだまされる理由
ローボール・テクニックを使われたとしても、条件を変えられた時点で断れば問題はありませんが、実際には条件が変わっても承諾してしまう人が多いのはなぜでしょうか。
これには心理学の「一貫性の法則」が関わっています。
人は一度承諾してしまうと行動に一貫性を持たせるために次も承諾しやすくなるのが一貫性の法則です。
ローボール・テクニックの実験
ローボール・テクニックの実験では、アリゾナ州立大学心理学部の名誉教授の社会心理学者ロバート・チャルディーニが、学生に対して行った実験が有名です。
チャルディーニは以下の2つのパターンで学生に心理学の実証実験への参加を呼びかけました。
A. 朝の7時からの心理実験に参加するように頼む
B. 心理学の実験への参加を頼んで承諾を受けてから、朝7時の実験であることを告げる
Aは条件をすべて話してから依頼したので承諾率は24%でしたが、Bの承諾率は54%と2倍以上になりました。
Bは明らかにローボール・テクニックを使っていますが、一度承諾してしまうと断り切れなくなる確率が高くなることが証明できています。
ローボール・テクニックの例
日常生活でもローボール・テクニックを使った販売方法などがあふれています。
たとえば、70%割引を宣伝文句にしていても、店の商品のごく一部だけだったり、見積もりでは安い料金でも請求されるのは高い金額だったりとさまざまです。
ローボール・テクニックは基本的にはだましのテクニックなので、マーケティングに応用すると言うよりは、ローボール・テクニックに引っかからないように注意するために知識を身に付けましょう。
具体的には高額商品の契約では、解約した場合の違約金、キャンセル料などにも十分注意して確認できるまでは契約しないなどの慎重な態度が必要になります。