更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:16 JST
ステレオタイプは、アメリカの政治評論家ウォルター・リップマンによって提唱された概念です。
その意味は「多くの人に浸透している固定観念や思い込み」のことになります。
例えば国籍・宗教・性別など特定の属性を持つ人に対して付与される単純化されたイメージがステレオタイプと呼ばれます。
ステレオの語源は「立体的な」という意味で、オーディオのステレオのことではなく、印刷用語のステロ版から名付けられています。
ステロ版で印刷すると、型を抜いて作ったかのように同じものができることから、今の「ステレオタイプ」になったと言われています。
ステレオタイプの例
典型的なステレオタイプの例としては以下のものがあります。
- 男は筋肉質で女よりも性欲が強く、同時に複数のことをこなすことができない
- 女は運転が下手で方向音痴だ
- イスラム教徒はテロリストだ
- イタリア人はよくパスタやピザを食べる
- ユダヤ人は教育熱心で過剰な教育ママをジューイッシュ・マザーと呼ぶ
- ドイツ人は- 勤勉で合理的、ビール好き
- 東洋人は挨拶のとき必ず合掌しお辞儀をする、理数系の学科が得意
ステレオタイプと差別の違い
差別は偏見であって偏った考え方によるマイナスのイメージがありますが、ステレオタイプは必ずしもマイナスイメージだけではなく、社会一般に定着したイメージのことです。対して偏見はあくまでも個人的な考え方になります。
ただし、ステレオタイプから偏見や差別につながることもあるので、使い方には注意が必要です。
日本のTVCMにもステレオタイプの表現をしたために、差別という非難を浴びて放送中止となったものもあります。
ステレオタイプのメリット
ステレオタイプから偏見が生まれることもありますが、ステレオタイプがなければ困ることもたくさんあります。
ステレオタイプのメリットには即時に判断できるという点があります。
高齢者とひとくくりにするのは偏見が生まれやすいですが、ステレオタイプで判断することで交通事故を防ぐことができます。
「高齢者は運動能力が低く、判断に時間がかかるので思いがけない行動をすることがある」というステレオタイプを覚えていれば、運転中に高齢者が近くにいただけ慎重な運転をすることができます。
もしステレオタイプがなかったら、通行人を一人一人確認して、どのように対処したらいいか判断しなくてはいけなくなります。ステレオタイプがあれば、高齢者や子供に関して素早く的確な判断をすることができます。
このようにステレオタイプを活用してリスクを防止することもできます。