更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:07 JST
計画錯誤とは
計画錯誤とは、過去に計画どおりに進まずに失敗した経験が繰り返しあったとしても、新たな計画を立てる際に楽観的な予測をするという心理的傾向を言います。
計画錯誤は経済学者のカーネマンによって名付けられましたが、実は自らの経験から発見されたものです。
カーネマン自身がある計画の予測を2年半で完了すると立てて、実際には8年近くかかった経験があります。
計画錯誤の実験
卒業論文に取りかかっている学生に対して、作業が中盤になったところで完成の予想をしてもらう実験を行いました。
残された時間は2ヶ月の時点で、最短・現実的・最長の3種類の予測をしてもっらところ、学生の平均は以下のとおりとなりました。
- 最短:27日
- 現実的:34日
- 最長:49日
以上の予測にもかかわらず、実際に終了した平均日数は55日という結果になりました。
あらゆる最悪のケースを想定した最長の日数よりも上回る結果となったのです。
計画錯誤の原因
計画錯誤の原因は明確には解明されていませんが、心理学的には「楽観性バイアス」が影響していると考えられます。
人間の脳は心理的ストレスを軽減するために、楽観的な予測を過大にし、悲観的な予測は過小評価する傾向があります。
これが楽観性バイアスです。
そのため、最悪のケースを考えて計画をするときでも、本当に最悪なケースは自分には起こらないだろうという楽観的に考えてしまうのです。
その上、予測や見込みを立てる場合は過去の経験に基づいて行いますが、その記憶ですら「虚偽記憶」によって都合よく書き換えられたり、間違って覚えていたりするので予測や見込みの根本から間違っている可能性も否定できません。
さらにイレギュラーな出来事の発生を予測することはできないので、それによって計画が遅れることはよくあることです。
計画錯誤の防止方法
どうしても納期までに仕上げる必要がある仕事の計画を立てるときは、分刻みで余裕のない計画を立ててしまいがちです。
しかし、そんな計画でイレギュラーな出来事が起きてしまうと、余分な時間を取られることで計画通りに行かなくなってしまいます。
そこである程度余裕を持った計画、たとえば夏休みの計画表のように休み時間を設けて、イレギュラーが発生しても対処できるようにすることも有効です。
あるいは、1日の仕事が予定以上に早く終わったときに、翌日の分を前倒しにする等、自分に合ったやり方を探してみましょう。
作業自体の効率を高めたり、モチベーションを維持したりする方法も試してみることも必要です。