更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:05 JST
同調圧力(Peer Pressure)のpeerには同僚や仲間という意味がありますが、同調圧力は仲間から受ける圧力のことです。
つまり仲間内では、多数意見に合わせるように暗黙の了解を強いられることになります。
ただし、適度な同調圧力はチームワークをよくするために必要なので、必ずしも悪い面ばかりではありません。
むしろ周囲に迷惑をかけないことが仕事などのモチベーションにつながります。
ミルグラムの同調実験
アメリカの心理学者のミルグラムは数々の実験で有名ですが、その中のひとつに同調に関する実験があります。これは町中で空を見上げている人にどれだけの人が同調して空を見上げるのかという実験です。
見上げている人が少ない場合は同調する人もほとんどいませんが、5人以上が見上げていると約八割の人が同調したと言われています。
周りの人に影響されてする行動を同調行動と呼んでいますが、周囲の人が同じ行動をしているほど同調行動が起きやすいことになります。
こうした同調行動の中でも同調圧力による行動は、目に見えないプレッシャーがあるため、ストレスを感じてしまいます。
日本と同調圧力
欧米に比べて日本社会では同調圧力が強いと言われています。その理由のひとつには日本の文化に根ざしているものがあります。
聖徳太子の十七条憲法にある「和をもって尊しと為す」に示されるように、古くから日本社会では儒学や仏教の影響が大きく、人々が協調して暮らしていくことを理想としていました。
また、農耕民族である日本では古くから村社会を形成していたため、村の内部では厳しいルールが設けられ、従わなければ「村八分」として排除されることもありました。
こうした文化的、社会的な背景が日本で同調圧力が強くなった要因と考えられます。
同調圧力を表すことわざとして「出る杭は打たれる」がよく引き合いに出されます。
周囲に同調しない者は周囲からつまはじきにされるという意味になりますが、日本における典型的な同調圧力を表していることわざです。
学校教育の問題
日本の学校、特に小学校では生徒全員が一律であることを強制させられます。
たとえば、小学生は必ずランドセルを使って、色は男子が黒、女子は赤というように定められている学校がほとんどです。
つまり個性を認めない教育をしていると言ってもいいでしょう。
このような教育をする学校では、生徒は周囲に合わせてあまり目立たないように振る舞いますが、他の生徒が自分勝手なことをしているとその生徒をずるいと感じるようになります。
学校では自分も周囲に合わせて我慢しているのだから、あなたも我慢するべきだ、という考え方になってしまいます。
その結果、我慢をしない同級生を仲間はずれにすることになるのです。
我慢することを学ぶという点では優れた教育方法と言えますが、徹底しすぎると同調圧力が普通に存在する社会となります。
同調圧力の軽減
同調は自分の考えを反映させずに周囲に合わせてしまうことです。
そこで同調ではなく協調することを心がける必要があります。
協調は相手と折り合いを付けることなので、自分の意見や考え方も反映されます。
同調圧力でストレスを感じてしまうのは、自分の意見がまったく反映されないこともひとつの要因となります。
普段から安易に同調はしない、かといって自分の意見を押しつけずに折り合いを付けるようにしましょう。
たとえば、友人や同僚で食事に行くときでも自分の食べたくないものを提案されて、その流れになってしまいそうになることがあります。
そのときは、全面的に拒絶するのではなく、周囲が食べたいものと自分が食べたいものもあるファミリーレストランなどの代替案を示しましょう。
専門店の方がおいしいかもしれませんが、嫌いなものを無理矢理食べさせるよりはいいと考える人の方が多いので、妥協してくれる可能性は高いでしょう。