更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:17 JST
情動感染とは
情動感染とは、他者が感情に動かされている姿を見て、自分もその感情が感染してしまう現象のことを言います。
まるで風邪が空気感染するように感情も感染してしまう現象です。
カリフォルニア大学の心理学者ハワード・フリードマンが、論文で発表した心理現象のひとつです。
フリードマンは論文で「不安を言葉や態度で強く表現している人がそばにいると、自分も同じ経験する可能性が高く、それによって脳のパフォーマンスが悪影響を受ける」と発表しています。
また、他の研究ではストレスを感じている人を目にしただけで、ストレスホルモンのコルチゾールが高まった被験者が26%存在したという結果もあります。
しかも感染しやすいのはポジティブな感情ではなく、「ネガティブな感情であることもわかっています。
これは他人が一度感じたストレスを二次的に感じているため「セカンドハンド(中古)・ストレス」とも呼ばれています。
情動感染が起きる原因
脳には神経細胞の一種であるニューロンという伝達物質が存在しています。
その中でも「ミラーニューロン」は他人の行動を見ているときも自分が行動するときも活動をしています。
そのため他人の行動と同じような行動を、まるで鏡のように実行することから「ミラーニューロン」と呼ばれています。
情動感染が起きるのはこのミラーニューロンの働きによるものと考えられています。
情動感染の例
情動感染の例は日常生活ではよく見たり経験したりすることができます。
映画を観たときに主人公の感情に共感して、同じように泣いたり怒ったりするのも情動感染のひとつです。
情動感染は映画などのノンフィクションやドラマによる影響だけではありません。
たとえば、職場の上司の機嫌が悪いとその部署全体の雰囲気が悪くなってしまうというのも情動感染の例です。
情動感染はマイナスの感情が伝染しやすいので、怒りや悲しみ、イライラ等の感情は特に伝染しやすくなります。
特に職場では上司の感情に部下は敏感となっているので、より伝染しやすいと言えるでしょう。
部下を持つ上司はこの情動感染にも十分気を付けて、部下の前では露骨に感情を表さないようにする必要があります。
マイナス感情ほどではありませんが、プラスの感情も伝染するので、なるべくポジティブな感情を表現することが大切です。