更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:17 JST
少数の法則とは
少数の法則とは試行錯誤の回数が少ないにもかかわらず「大数の法則」が当てはまると錯覚する認知バイアスのひとつです。
ノーベル賞経済学者のダニエル・カールマンが1971年に提唱したとされています。
偶然による試行錯誤は回数が多いほど確率計算で算出された数値に近づくという法則が「ベルヌーイの大数の法則」で、これは数学的に証明されている法則となります。
しかし、少数の法則では少ない試行錯誤にもかかわらず、心理的に大数の法則が適用されると判断してしまいます。
この少数の法則を提唱したのは、実際に小数のデータを信じて研究発表していた心理学者です。
小数の法則の提唱者
心理学者のカーネマンは心理学の研究でデータを示す際、試行人数にはあまりこだわらずにデータを集めて発表していました。
しかし、「心理学者の研究はデータが少なく信憑性が低い」という記事を読み、自分の研究を反省し同時に他の心理学者の研究について調査を始めました。
その結果、多数の心理学者の研究がデータ不足であるにも関わらず、多くの人がその研究を信頼しているという事実に気づき発表しました。
少数の法則の具体例
少数の法則が起こってしまうのは、確率を無視したようなデータが発生した場合に、それを偶然とは考えずにそのまま普通に起こることだと勘違いしてしまうからです。
- サイコロを振って連続して同じ数字が出ると、その数字が出やすいサイコロだと思ってしまう
- じゃんけんに続けて勝つとじゃんけんが強いと思い込む
- 商品レビューに数人の人が高い評価をしただけで、良い商品だと思い込む
- 雨の日にカラフルな傘立てを置いたら顧客数がアップした → カラフルな傘立ては客を増やす
- 全国の市町村の大腸がんの発生率は、人口密度が低い市町村が大半だった
確率は試行錯誤の回数が少ないと偏ることもあります。
そのため確率に関わることは十分な回数を重ねることが重要となります。
また、統計でも同じことが言えるので、サンプル数は一定以上の数がないと簡単に信じることはできません。
特にマーケティングでは偶然に左右されないように、試行錯誤しながら検証することが重要です。
傘立ての例で言えば、1日だけでなく曜日や月末月初の違いなど様々な方向から、長期間にわたって検証する必要があります。