更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:11 JST
プライミング効果とは
プライミング効果とは、あらかじめ受けた刺激(情報)によって、行動が無意識に影響される心理効果です。
プライミングには「あらかじめ教え込む」という意味があります。
プライイング効果ではあらかじめ受けた刺激によって、無意識のうちに行動が影響を受けるため、以下のようなことが起こります。
- 買い物に行く途中でカレーの匂いを嗅いだら、予定していなかったレトルトカレーを購入していた
- 「ピザ」と10回言わされた後に「ひじ」を指さして「これは何」と聞かれると、「ひざ」と答えてしまう
上記の例でカレーを例にとると、レトルトカレーは意識的に買ったのではなく、無意識のうちに購入しています。
またこの場合、カレーの匂いを「プライマー」、カレーを食べたくなった気持ちを「ターゲット」と呼んでいます。プライマーによってターゲットが引き出されるイメージです。
プライミング効果の実験
心理学者のジョン・バルフらが1996年の論文で発表した実験は以下のとおりです。
学生を以下の2つのグループに分けます。
A) 無作為に選んだ単語のセットを与えたグループ
B)
高齢者を連想させる単語のセットを与えたグループ
与えられた単語を使って文章を作成させた後に、学生達を歩かせてその速度を計測したところ、AのグループよりもBのグループの速度が遅くなりました。
つまり高齢者に関する単語のセットがプライマーになって、高齢者のような学生の行動というターゲットを引き起こすプライミング効果が認められたのです。
プライミング効果の種類
プライミング効果は、直接プライミング効果と間接プライミング効果の2つに分類することができ、それぞれ以下の特徴があります。
- 直接プライミング効果:プライマーとターゲットが同じ
- 間接プライミング効果:プライマーとターゲットは違うが関連している
上記の違いを消費者にレトルトカレーを購入させるために、プライミング効果を応用した例を使い比較してみます。
直接プライミング効果ではプライマーとターゲットが同じなので、直接的にレトルトカレーのTVCMを流す、レトルトカレーのポスターを作成するなどが考えられます。
間接プライミング効果の応用として考えられるのは、カレーに関連したターゲット、たとえばインドや香辛料の情報を準備します。
消費者に対してインドや香辛料に関する情報を与えてから、レトルトカレーの購入を勧めると購買率を高めることができます。
直接プライミング効果では消費者には買わされたという意識が生じることがありますが、間接プライミング効果では無意識のうちに影響を受けているので、自分の意思で購入したという意識が強く自然な流れで購入を促すことができます。
プライミング効果の応用
プライミング効果はあらゆる分野での応用が可能です。
マーケティングでの応用としては、たとえば店の回転率を上げたいときや反対に滞在率を上げたいときにプライミング効果が応用できます。
店舗内のBGMをゆっくりしたテンポの音楽にすると、客もゆっくりした気分になり商品をしっくり選べるようになります。
反対にアップテンポの曲にすると、客は急いで買い物を済ませようとするので回転率を上げることができます。
また、アンケートを実施することもプライマーになるので、購買率を高めることにつながります。
健康食品を売ることがターゲットであれば、健康に関するアンケートを事前にお願いすることで購買意欲が高まります。