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防衛機制


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:10 JST

防衛機制はフロイトが提唱した心理学の概念のひとつです。

フロイトは人の心を以下の3つの要素で成り立っていると考えました。

  • イド(エス)・・・・・・・・本能的欲動
  • スーパーエゴ(超自我)・・・イドを抑制する
  • エゴ(自我)・・・・・・・・イドとスーパーエゴの間で適正な道を探る

イドは人にとっては認められないものなので、自我はイドが意識に上がらないように抵抗をします。

この抵抗手段をフロイトは「防衛機制」と名付けました。

防衛機制の種類

ハーバード大学医学部のヴァイラント教授は防衛機制を以下の4段階に分けました。

病理的防衛

5歳以下の幼児によく見られる最も原始的な防御規制で、以下の2つがあります。

否認

受け入れられない事実や不快な体験を心を閉ざして受け入れないのが否認です。否認は気付かないのではなく認識した上で認めようとしない行為です。

投影

自分の抑圧された感情や願望を認められず、自分ではなく他人が持っていることにしてしまうのが投影です。たとえば、自分が相手を憎んでいることを認めず、相手が自分を憎んでいると思い込むことになります。

未熟な防衛

15歳以下の子供に見られますが、成人にも見られることがある防衛機制で、「退行」と呼ばれています。

自分よりも幼いときの精神状態に戻って、困難を回避しようとします。弟や妹が生まれたときに起こる「赤ちゃん返り」が代表的です。

神経症的な防衛

成人でもよくある防衛機制で日常正確に支障がなければさほど問題になりません。この防衛機制には以下の種類があります。

抑圧

抑圧は最も基本的な防衛機制で、不快な感情や記憶、思考を無意識の中に押し込めてなかったことにします。

逃避

ストレスなどから心理的だけでなく物理的にも逃れようとする防衛機制で、さらに3つの種類に分けられます。

A. 現実への逃避・・・無関係な行動をして気を紛らわす
B. 空想への逃避・・・空想の正解に逃げ込む
C. 病気への逃避・・・病気のせいにする
3. 反動形成

不快な感情に抵抗するために反対の行動をとるのが反動形成です。

当然本来とは反対の行動をするのでストレスが溜まりやすくなります。

例としては嫌いな人に親切にするなどの行動が代表的です。

合理化

認めたくない事実に対してもっともらしい理由を付けて無理矢理納得するのが合理化になります。

たとえば、楽しみにしていた旅行に寝坊して行けなくなったときに、行ってもあまり楽しくなかったはずだと自分に言い聞かせることなどがあります。

代償

特定の対象に向けた欲求が満たされないときに、代わりを探して自分を納得させるのが代償です。

ブランド品が買えないので偽ブランド品を買うのも代償のひとつです。

成熟した防衛

成熟した防衛はこれまでの3つの防衛機制を押さえ込み、意識して行われる防御規制です。

そのためこの防御規制をやめてしまうことで、前の3つの段階の防御規制に戻ってしまうことになります。

同一視

他人のよいところを自分に重ねて欲求を満たそうとするのが同一視です。

たとえば、理想とする優秀な人の言動を真似することなどが挙げられます。

昇華

一般的には認められない衝動や欲求を学問や芸術などに変化させるのが昇華です。

抑圧された気持ちを歌詞にして歌として発表するなども昇華のひとつです。

補償

ある失敗をしたときに別の分野で成功して埋め合わせをすることが補償です。

たとえば、失恋したことを仕事で成功して乗り越えるなども補償です。

 

 

 

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