更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:17 JST
親近効果とは
親近効果とは、ある物事について多くの情報を得たとき、最後に得た情報によって判断が左右されやすくなるという心理効果です。
「初頭効果」と呼ばれる心理効果と正反対の意味を持ちますが、矛盾しているわけではなくお互いに影響を及ぼしていると考えられます。
親近効果の提唱者はアメリカの心理学者のノーマン・H・アンダーソンです。
親近効果の実験
アンダーソンは下記の実験の結果に基づいて親近効果を提唱しました。
実験は実際に起こった事件の模擬裁判という形で行われています。
弁護側と検察側の証言がそれぞれ6つずつ用意され、その証言の順番によって結論が変わるかどうかが検証されました。
A. 弁護側と検察側が交互に2つずつ証言をして裁判を進めます。この場合、陪審員(被験者)は、最後に証言をした側に有利な結論となりました。
B. 弁護側と検察側が交互に6つずつ証言を行うという流れで裁判を進めました。この場合でも、後に証言をした側に有利な結論が下されました。
上記の結果からアンダーソンは情報がたくさん与えられたときには、人は最後の情報に影響されやすいと結論づけたのです。
初頭効果と親近効果の違い
同じ記憶なのに、なぜ第一印象が強く残るケース(初頭効果)と、最後の情報に影響されるケース(親近効果)があるのでしょうか。
これは人の記憶には長期記憶と短期記憶があるからといわれています。
つまり第一印象は長期記憶に働きかけるため初頭効果として現れ、より多くの情報が与えられた場合は短期記憶として記憶されるので、最新の情報がより記憶に新しく親近効果が発生するのです。
初頭効果は初対面の人によい第一印象を与えることで記憶に残巣という応用ができます。
これに対して、親近効果は自分自身や売りたい商品にある程度興味がある人に対して、最後の決め手として活用すると効果的です。
親近効果の活用
ビジネスで親近効果を活用するには、興味を引きそうな情報を最後にすると効果的です。
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こうしたプレゼンでは相手は当然その商品に興味を持っているわけですから、最後に高価格という情報を与えてしまうと親近効果が逆効果となってしまいます。
プレゼンや営業では最後に相手の興味を引く情報を提供しましょう。
同じように商品の広告でも最後までその広告を読む人は、その商品に興味がある考えられます。
そこで最後にダメ押しとしてプラス評価の口コミを掲載すると親近効果が見込めます。