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シミュラクラ現象


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:34:33 JST

 

シミュラクラ現象とは

シミュラクラ現象とは、逆三角形の頂点の位置に点があれば、人の顔に見えてしまうと言う心理現象のことです。

ただしこれは日本だけで使われる言葉で、英語圏ではもっと意味は広くなりますが、「パレイドリア(Pareidolia)」と呼ばれています。

シミュラクラ現象は狭い意味のパレイドリア

パレイドリアは曖昧な刺激(通常は視覚)に意味ある解釈を押し付け、何もないところに物体やパターン、意味などを見出す認識の傾向のことです。

日本で言うシミュラクラ現象は3点が顔に見えるという限定された状況のことですが、パレイドリアはもっと広い範囲の現象を指します。

よくある例としては、雲の中に動物や顔、物体が見える、無生物の中に顔が見える、「月の人」や「月のウサギ」のような月のパレイドリアがあります。

パレイドリアの概念は、逆再生や通常よりも高速または低速で再生される録音された音楽の隠されたメッセージ、およびエアコンやファンによって生成されるなどのランダムなノイズで声(主に不明瞭)や音楽を聞くことに拡張することがあります。

パレイドリアは、ランダムな画像や光と影のパターンを顔として解釈してしまうこともあります。

パレイドリアの実験

2009年の脳磁図研究によると、顔として知覚された物体は、顔によって喚起されるのと同様の時間と位置で、楔状顔面領域の早期(165ミリ秒)活性化を喚起しますが、他の一般物体ではそのような活性化を喚起しないことが判明しました。

この活性化は、実際の顔の画像に対して見られるやや早い時間(130ms)と同様でした。

このことから、顔に似た物体によって顔が知覚されるのは比較的早期の過程であり、後期の認知的再解釈の現象ではないことが示唆されています。

2011年に行われた機能的磁気共鳴画像法(fMRI)研究でも、同様に、意味があると解釈された新規の視覚的形状を繰り返し提示することで、実物に対するfMRI反応が減少することが示されました。

なぜ顔と認識するのか

パレイドリアの研究は、なぜ人が数本の線と円を迷うことなく素早く「顔」として認識するのかを説明するのに役立っています。

顔のような物体によって認知プロセスが活性化され、意識下で情報を処理したり受け取ったりする前に、観察者に対象者の感情状態とアイデンティティの両方を警告するのです。

「棒だけで描いた人間の顔」は、その単純さにもかかわらず、気分の情報を伝え、幸せや怒りなどの感情を示すために描かれることがあります。

シミュクラ現象、パレイドリアの例

岩石が形成、風化、浸食のランダムなプロセスを通じて、認識可能な形状を模倣するようになる可能性があります。

よく知られている例としては、火星の「顔」があります。

これは、ある衛星写真に写っていた人間の顔に似ている火星の岩石ですが、ほとんどの擬態岩は人の顔のように見える崖の横顔など、擬態している対象物よりもはるかに大きいのです。

しかし、2001年に照明を変えて撮影したより詳細な写真を見ると、いかにも自然の岩盤であるかがわかります。

ピクチャージャスパー(和名は絵画碧玉で内包物により絵画のように見える不透明石英。強い石と客観的な判断力を高めると云われている)は、水や風による流れや堆積による帯状の模様、樹枝状や色の変化などの組み合わせで、カットした断面がまるでミニチュアのような風景になり、ジュエリーに使用されます。

チャートのノジュール、コンクリート、小石は、アマチュアの愛好家が骨格、卵の化石、その他の有機物由来の遺物と誤認する場合もあります。

1970年代後半から1980年代前半にかけて、日本人研究者の岡村長之助が『岡村化石研究所の原点』と題する一連の報告書を自費出版し、シルル紀(425mya)の石灰岩に含まれる小さな内包物を、わずか数ミリの小さな人間、ゴリラ、犬、竜、恐竜などの生物の保存化石と説明し、「人類の身体には、シルリア紀から何の変化もなかった」と主張しています(3.5mmから1700mmに身長が伸びた以外は)。

岡村の研究は、1996年に生物多様性の分野でイグノーベル賞(ノーベル賞のパロディ)を受賞しました。

1877年、望遠鏡で火星を観察していた人たちが、かすかな直線を見たように感じ、それを運河と解釈したことがパレイドリアの顕著な例です。

この運河は、もしかしたら知覚を持った生物が作り出したものかもしれないという説が唱えられました。

これはセンセーションを巻き起こしたが、次の数年間でより良い写真技術と強力な望遠鏡が開発され、適用された結果、かすかな線が消えた新しい画像が得られ、運河説はパレイドリアの一例として否定されています。

 

 

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