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フレーミング効果


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:04 JST

 

フレーミング効果とは

フレーミング効果とは、ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンと、心理学者のエイモス・トヴェルスキーが、1979年に発表した「プロスペクト理論」の中で提唱している心理効果のひとつです。

フレーミングは「枠組み」や「額縁」という意味で、額縁を買えることで絵画の印象が変わるように、ものの見せ方を変えることで与える印象が変わるという心理効果がフレーミング効果です。

プロスペクト理論では、それまでの人間は合理的な考えに基づいた行動をするという考え方では説明できない、一見不合理な行動を説明可能にした理論です。

カーネマンはフレーミング効果を以下のように表現しています。
「問題の提示の仕方が考えや選好に不合理な影響を及ぼす現象」

フレーミング効果は、具体的には「5g配合」と「5,000㎎配合」の表現の違いを言います。

どちらも同じ量の配合ですが、後者の方が多く感じてしまうのがフレーミング効果です。

フレーミング効果の実験

カーネマンとトヴェルスキーが実施した「アジア病問題」という実験は、以下の要領で行われました。

実験では被験者を、利益を強調した「ポジティブフレーム条件グループ(Pグループ)」と損失を強調した「ネガティブフレーム条件グループ(Nグループ)」に分けて、考えさせました。

問題

アメリカはいま、「アジア病」という伝染病の大流行に備えていますが、死者は600人に達する見込みです。対策としてふたつのプログラムが提案されていますが、どちらを採用しますか?

Pグループへ提示した選択肢と選択率の結果

A. プログラムA:200人が助かる(72%)
B. プログラムB:600人が助かる確率は1/3で、誰も助からない確率は2/3(28%)

Nグループへ提示した選択肢と選択率の結果

C. プログラムC:400人が死ぬ(28%)
D. プログラムD:誰も死なない確率は1/3で、600人が死ぬ確率は2/3(72%)

上記の選択肢はAとC、BとDでは表現が違うだけでまったく同じ内容ですが、選択率はまったく正反対となってしまいました。

このようにプロスペクト理論は、人は利益を強調されると損失を回避する方向で行動し、損失を強調されると利益を求めようとすると考える理論です。

実験ではAで200人が助かるというプランが提示されると、600人が2/3で死ぬ確率があるプランを排除しようとします。反対に400人が死ぬプランが提示されると、誰も死なない確率が提示された選択肢を選びます。

200人が助かるというフレームと400人が死ぬというフレームは中身が同じでも、強調されている内容が違います。人は、提示されたフレームの中で考えて、フレーム自体を再構築しないということがわかります。

フレーミング効果の応用

フレーミング効果はマーケティングにも応用することができます。マーケティングでは広告宣伝をするときの「言葉」や「表現」そのものがフレームとなります。

たとえば、節電ができる家電品を売りたい場合は、なるべく大きな数字をフレームとして使用します。

  • 毎月100円の電気料がお得に!
  • 年間1,200円も電気料がお得!

上記では後者の方がインパクトは強くなります。そのほかにも単位を1,000分の1にすることで、1,000倍の表示をすることができるので効果が大きくなります。(1g → 1,000mgなど)

フレーミング効果は日常会話でも応用することができます。

ほんの少し表現を変えるだけで、言葉の印象が大きく違ってくるので試してみましょう。

A. 急げば間に合うかもしれないね
B. 急がないと遅刻するよ

A. このやり方ならうまくいくね
B. このやり方にしないと失敗するね

上記のどちらもBのパターンにすることで、明らかに言葉のインパクトが強くなります。

同じ意味でもフレーム(表現方法)を変えるだけで、人を急がせたり危機感を持たせたりすることができます。

 

 

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