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確証バイアス


更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:22 JST

確証バイアス(Confirmation Bias)は、認知心理学や社会心理学における用語で、認知バイアスのひとつです。

確証バイアスは仮説や信念を検証するときに、自分の考えや意見を支持する情報ばかりを集め反証する情報を無視したり、集めようとしなかったりする傾向のことをいいます。

思い込みや先入観に深い関わりがあり、確証バイアスは実生活のあらゆる場面で目にしたり、耳にしたりすることができます。

確証バイアスの例

血液型占いは日本では信じている人が多いですが、科学的な根拠もなく統計学的にも証明されたものではありません。

それでも多くの日本人が信じている原因として確証バイアスが関わっています。

血液型占いではA型は几帳面とされています。

これを信じている人が職場でA型の同僚がデスクを片づけている姿を見かけたとします。

A型は几帳面と信じているので、同僚が片づけている姿を見るとますますA型が几帳面という確信が高くなります。

しかし、デスクを片づけているということは、それまでデスクが片づいていなかったことになります。

本当に几帳面ならば何かするたびに片づけるので、デスク全体を片づける必要はないはずなのです。

つまり机を片づける前の乱雑な状態が何日も続いていたことは無視して、片づけているから几帳面という都合のいい部分だけで自分の考えを肯定するのが確証バイアスです。

人事評価における確証バイアス

企業の人事評価は公平な視点で社員を評価する必要がありますが、アンケートを採ってみると評価に不満を感じている部下が62%いますが、正しく評価できているという上司も78%いることがわかります。

これほど評価する側とされる側に違いがある背景には、確証バイアスの影響があります。

人事評価に関する確証バイアスの例としては以下の行動が挙げられます。

  • 上司は優秀と思っている部下の良いところを探す
  • 上司は優秀ではないと思っている部下の悪いところを探す
  • 出身大学によって優秀か優秀でないかのイメージを持つ

また、採用面接ではもっと典型的な確証バイアスが起こる可能性が高くなります。

第一印象が良い求職者と悪い求職者では、同じようなエピソードを話したときでもまったく異なる印象を受けます。

「ひとつのことを努力して最後まで成し遂げた」というエピソードであれば、印象の良い求職者には持続力があると評価します。

しかし、印象の悪い求職者の場合は、同じエピソードを聞いても柔軟性がなく臨機応変に対応できないという評価になります。

しかも印象の良し悪しは出身大学のレベルで決まるという典型的な確証バイアスです。

確証バイアスの問題点

確証バイアスはいわゆるステレオタイプの考え方になってしまうことが問題です。

「○○は××だ」というイメージが強すぎると、差別につながってしまうからです。

「イスラム教徒は過激だ」という確証バイアスは、9.11後のアメリカで大きく広がりました。

そのため、多くのイスラム教徒が差別されたり、迫害を受けたりしたのです。

黒人差別も確証バイアスの影響が強いでしょう。

黒人は犯罪者が多いというイメージを持ってしまうと、黒人の犯罪者をひとり見ただけで確証バイアスとなります。同時に白人の犯罪者がいたとしても無視してしまうのです。

確証バイアスの実験

イギリスの認知心理学者であるウェイソンが1966年に考案した4枚のカードによる「ウェイソン選択課題」は、確証バイアスの問題点と軽減方法を示しています。

「ウェイソン選択課題」は、表に偶数が表示されているカードの裏側は赤であるという仮説を確かめる課題です。

カードは4枚あり2枚は「3」「8」で表が表示され、残りの2枚は赤と茶色の裏面が表示されています。

どのカードをめくると仮説を確かめられるのかという問題となります。

めくる必要がないカードをめくっても課題は失敗、めくる必要があるカードをめくらなくても失敗となります。

偶数が赤であることを証明すればいいと考え、大概の人は「8と赤」のカードを裏返すと回答します。

第一印象で偶数と赤に確証バイアスが働いてしまうからです。

しかし、実際の証明には次の2つのことが必要になります。

A. 偶数はすべて赤
B. 赤でないカードはすべて奇数

ここでひとつずつ確認してみましょう。

  • 3のカード→ABのどちらも証明できない→めくる必要がない
  • 8のカード→赤であればAが証明できる→めくる必要がある
  • 赤のカード→ABのどちらも証明できない→めくる必要がない
  • 茶色のカード→奇数であればBが証明できる→めくる必要がある

最初の印象と違って、正解は8と茶色のカードとなります。

この実験で確証バイアスに陥らないためには、客観的に考えることが重要だということがわかります。

確証バイアスに陥らないためのポイント

確証バイアスに陥らないためには以下のポイントに注意する必要があります。

クリティカルシンキング(批判的思考)

先入観にとらわれず判断の精度を高めるには、批判的思考と呼ばれる考え方をする必要があります。

自分の考えを批判的に考え直してみることで、客観的な判断ができ確証バイアスに陥らなくなります。

確証バイアスの理解

まずは確証バイアスに対する理解を高め、なぜ確証バイアスに陥るのか、なぜ確証バイアスに陥ると問題なのかをしっかり理解します。

その上で確証バイアスに陥らない方法も覚えることが大切です。3.

第三者の意見

いったん先入観を持ってしまうとなかなか抜け出すことが難しくなります。

自分だけで判断せずに信頼できる人の客観的な意見を聞くことも大事です。

先入観を持ったきっかけ

確証バイアスに陥る原因には先入観があります。

なぜその先入観を持つことになったのかそのきっかけを考えてみましょう。

その根本が間違えていると気付けば確証バイアスから逃れられます。

 

 

 

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