更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:16 JST
心理リアクタンスは直訳すると「心理的反発」という意味になります。
心理学者のジャック・ブレームが提唱した「自由を束縛されるとその自由を取り戻そうとする心理現象」のことです。
誰でも一度は、母親に勉強しなさいと言われてやる気がなくなるという経験をしたことがあるでしょう。
これは勉強しなさいという命令を受けたことで自由を奪われたと感じて、それに反発することで心理リアクタンスが発動して、やる気をなくしたのです。
心理リアクタンスの実験
2歳児の男の子を対象にした心理リアクタンスの実験がアメリカのバージニアで行われました。
実験では2つのおもちゃを用意して(同じ程度魅力的な物)、ひとつは透明な障壁の向こう側に配置、もうひとつは障壁の隣に置きました。
さらに障壁の高さを30㎝(A:手を伸ばせば届く距離)と60㎝(B:障壁を迂回しなければいけない距離)の2種類を準備しました。
この2つのパターンで子供がおもちゃに触れるまでの時間を調べたところ、Aの障壁では障壁の隣でも向こう側でも、おもちゃに触れるまでの時間は同じでした。
しかし、Bの障壁の場合は、距離が遠いおもちゃに触れる時間の方が、すぐ近くのおもちゃに触れる時間の1/3しかかからないという結果になりました。
つまり自由を奪われたことで心理リアクタンスが発生して反対に遠くのおもちゃへの興味が増したと考えられます。
心理リアクタンスの実例
よく男性向け雑誌には袋とじでヌード写真などを掲載することがありますが、これも袋とじによって自由に見ることできなくしたことで心理リアクタンスが発生します。
心理リアクタンスを利用したマーケティングのひとつと言えます。
マーケティングでは制限を設けることで心理リアクタンスを発生させて、商品の販売に結びつける手法がいくつかあります。
たとえば、限定商品や販売期間を限定した商品、販売数限定や会員制度による販売は、自由を制限されるため心理リアクタンスが働きます。
その反動で購入したいという意欲を高めることができます。