更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:23 JST
打ち消しとは
打ち消しとは、空想上や実際の行為よる罪悪感や恥の感情を打ち消すために何かをするという防衛機制です。
例を挙げると夫婦喧嘩の翌日にいつもより豪華な朝食を用意する、期日までにレポートを添削して学生に返却できなかった教授がそのレポートの評価をAにするなどがあります。
これが意識的な行動であれば定義上防衛機制とは言えませんが、本人が無意識のうちに行っている場合に限り「打ち消し」と呼ばれる防衛機制となります。
打ち消しの例
打ち消しには以下のような例があります。
- 夫婦喧嘩をした翌日の食事が豪華になる
- 忙しくて子どもにかまってあげられない親が、子どもの欲しがるものを過度に買い与える
- 理不尽に叱りつけてしまった部下に優しく接してご機嫌をとる
- 浮気をした人が配偶者に対して優しくなったり、プレゼントを買ったりする
- 悪口を言った対象に必要以上に優しく丁寧に接する
- 高額で大きな買い物の後に、細々した必要のないものを買い足す(負の感情を分散する)
基本的に既にやってしまったことをなかったことにはできません。
しかし、打ち消しは無意識のうちに行われるので、感情や気持ちは相殺されなかったのと同じ気分になります。
そのため、心理学者は打ち消しを魔法にたとえる場合もあります。
打ち消しは日常生活でもよく見られますが、宗教的な行動でも見ることができます。
宗教的に罪を犯してしまったときに、苦行や荒行を行って贖罪をするという行為も打ち消しのひとつと言えるでしょう。
教会の牧師さんに告白をすることで罪を償うことができるというのも打ち消しと考えられます。
しかし、一般的に打ち消しは無意識のうちに行う行為なので、意識した告白や贖罪は防衛機制としての打ち消しとは根本的に違うと考えられます。
打ち消しの種類
既に行ってしまった行為を取り消すのが打ち消しですが、中には同じ行為をさらに上積みするケースもあります。
浪費してしまったことを悔いて意味のない買い物をさらに追加するのは、数を増やすことでひとつひとつの罪悪感を薄めようという気持ちが働いています。
実際には追加しているのですがこれも打ち消しのひとつです。
また、好きでもない相手と交渉をしてしまったときに、さらに複数の相手と性交渉することも、打ち消しのひとつです。
この場合は不安や葛藤をやり直すことで解消しようとする取り消しの行為とんまります。
このようにやり直したい行為と反対の行為をするだけでなく、同じ行為を繰り返すことも打ち消しの効果があるのです。