更新日:Tuesday, 07-Mar-2023 02:35:08 JST
ラベリング効果とは
ラベリング効果とは1960年代に社会学者のハワード・デッカーによって発表された「ラベリング理論」の中で初めて提唱された心理効果のことです。
ラベリングはいわゆる「レッテルを貼る」という意味で、人に対して深い考えもなく判断して決めつけてしまい、そのラベリングがその人の行動に影響を与えてしまうことです。
デッカー以前は「不良は髪を染めているものだ」と周囲が定義をしていると解釈していましたが、周囲の人が特定の人を不良だとレッテル張りをすることで、その人は不良としての行動(髪を染めること)をすると解釈したのがラベリング理論です。
言葉が行動に影響するという意味では日本でも昔から「言霊(ことだま)」という考え方があります。
言霊を理論化したのがラベリング理論とも言えるでしょう。
ラベリング効果の例
ラベリング効果は日常生活でもよく見ることができます。
たとえば子供に対して「男の子は泣いちゃダメ」や「女の子は優しくなくちゃダメ」と言い聞かせるのも、無意識のうちにラベリングをしていることになります。
その結果、男の子が泣かなくなり、女の子が優しくなれば、それはラベリング効果と言うことができます。
日本では血液型と性格に関連性があると信じられていますが、科学的に立証されたものではありません。
しかし、「あなたはA型だから几帳面だね」とレッテルを貼ることで、その人も意識して几帳面な行動をしてしまいます。
これもラベリング効果のひとつです。
さらにA型の人が几帳面な行動することを見る機会が増えることで「A型=几帳面」というラベリングが定着します。
そのため、さらにA型は几帳面というレッテルが信じられることになるのです。
ラベリング効果の応用
ラベリング効果は教育や指導の場で効果的に活用することができます。
部下への指導とラベリング効果
部下の欠点を克服させたい、よいところを伸ばしてあげたいと考えるのであれば、ラベリング効果を活用することでうまく行く場合があります。
仕事が少し遅いと感じる部下に対して仕事が早く終わったときに「仕事が早いね」とほめてあげることで、自分は仕事を早くできるというラベリング効果が発生する可能性があります。
この時、事実に反するラベリングはしないことが大切です。
なぜなら、本当に仕事が早かったときにほめるのはいいですが、仕事が遅いときにほめると皮肉と受け取られてしまうからです。
この時に注意するのは部下の「行動」をほめてラベリングするということです。
性格や見た目をラベリングしても仕事に対してはあまり効果はありません。
さらに普段から部下とコミュニケーションをとることで、その部下が望んでいることを知るのも大切です。
その人が望んでいることをラベリングすることで効果が高まるからです。
反対に自分勝手な思い込みで部下を判断して、自分の思い通りに行動させようとするラベリングはうまく行かないので注意しましょう。
自分に対するラベリング
ラベリングは自分自身の欠点克服にも応用することができます。
自分の行動などであらためたい点があれば、まずは周囲からのラベリングではないかと疑ってみましょう。
周りが勝手に思っているだけで、そのレッテルは本当の自分ではないと考えることができれば、自分自身で新しくラベリングをして上書きすることができます。
新しいラベリングを自分に言い聞かせて行動に移すことで、欠点も克服することが可能です。