悪口も度が過ぎれば営業妨害になる。営業妨害とは一般的に営業の邪魔するような言動のこと。根も葉もない悪口をグルメサイトへ書き込むと偽計営業妨害罪になる可能性があります。

「悪口を言われてお店の信用を失った」という話を聞くことがあります。

悪口によって営業妨害をされたら罪に問うことはできるのでしょうか?

また、営業妨害という罪が存在しているのか、対抗策はあるのかなど様々な疑問が浮かんできますね。

今回は悪口と営業妨害について考えてみましょう。

営業妨害とは

よくドラマなどで「営業妨害だ」というセリフを聞くことがありますが、営業妨害は法律上の罪名ではありません。

一般的に営業の邪魔するような言動のことを営業妨害と言っているだけなのです。

営業妨害(えいぎょうぼうがい)とは、営業活動を行っている者のその活動等の妨げになる行為をいう。

故意に企図されたもの、故意によらずして行われるものを含む。

営業妨害 – Wikipedia

直接お店の前で客をよせつけない行為は、営業妨害という罪がなくても他の罪となる可能性が高いでしょう。

しかし最近ではお店の口コミ情報や商品のレビューが一般的になっています。

この口コミ情報や商品レビューも営業妨害の対象になってしまうのでしょうか?

すこし法律的な観点から考えてみましょう。

営業妨害に関連する罪

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損する犯罪を信用毀損罪と言います。

この対象が個人や個人の信用でなく営業妨害であれば、業務妨害罪となります。

虚偽の風説の流布は根も葉もない噂や悪口を言いふらすことなので、悪口によって業務を妨害した場合もこの罪に問われることになります。

この業務妨害罪は2種類あります。

2つの業務妨害罪

業務妨害罪には2つあり、「偽計営業妨害罪」と「威力営業妨害罪」です。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の業務を妨害すること(偽計業務妨害罪)。

または威力を用いて人の業務を妨害すること(威力業務妨害罪)を内容とする犯罪である。

信用毀損罪・業務妨害罪 – Wikipedia

悪口によって営業を妨害するという意味では、偽計業務妨害罪が最も近いのではないでしょうか。

それでは具体的にはどのようなケースが違法となる可能性があるのか考えてみましょう。

偽計営業妨害罪の具体的な行為

偽計業務妨害罪の「偽計」には次のような意味があります。

・人を欺いて誘惑すること
・人の錯誤や不知(無知)を利用すること

悪口が営業妨害に該当するケースとしては偽計に関する要件よりも、「虚偽の風説を流布する」と言う要件に該当する可能性が高いでしょう。

それでは具体的に検証してみましょう。

事件や事故に関連したデマ

地震があったときに動物園から猛獣が逃げ出したというデマが流れたことがあります。

また、特定の温泉地にオイルが流れたなども、デマの一種となります。

事実を確認もせずにこうしたデマを事実のように拡散する行為は、偽計業務妨害に問われる可能性があります。

これらのケースでは動物園や温泉が営業妨害を受けることになります。

事実を広めるのであれば、SNSは災害時の情報共有手段としてはかなり有効となります。

しかし一歩間違えると犯罪行為に加担することになるので、確信の持てないことは事実として拡散するのはやめましょう。

お店や企業に対する書き込み

最近はグルメサイトへの書き込みなどで、お店を判断する人も多くなってきました。

しかし、中には悪口のような口コミもあり、場合によっては営業妨害と受け取られる可能性もあります。

特に「虫が入っていた」など、嘘を掲載することは営業妨害の可能性が高くなるので気を付けましょう。

ただし、「虚偽の風説の流布」が偽計業務妨害罪の要件なので、事実を掲載している分には心配はいりません。

また、個人の感想程度であれば、問題ないでしょう。

私の近所に態度の悪い1000円カットの店があったのですが、態度が物凄く横柄でね…
で、口コミをみたらやっぱりほかの人も同じことを書いてました。

痛かったのは、店の店主であろう人が、「ライバル店の嫌がらせにより悪評がたくさん入ってます。私たちは被害者です。」

みたいな書き込みがあって、かわいそうに思いましたね。

ネットのクチコミにお店側が損な事を書くと営業妨害になるのですか? – 捕まりま… – Yahoo!知恵袋

バイトテロ

一時期食品を扱う店舗で、アルバイト社員が不衛生な行為をしている映像を流すのが流行ったことがあります。

これはバイトテロと呼ばれていましたが、考えてみるとこれは偽計営業妨害罪、場合によっては威力営業妨害罪になる可能性は高いですね。

ネット上の悪口などが営業妨害となった判例は探しても見つかりませんでした。

これは証明するのが難しいことにも原因があるでしょう。

しかし、バイトテロは映像をわざわざ残しているので、十分な証拠があります。

犯罪となっていないのは、アルバイト社員の年齢が若いこともあって、事業者である被害者が穏便に済ませているだけだと考えられます。

悪口などよりもずっと悪質で、具体的な被害も立証しやすいので、今後も同様なことが続くようであれば、刑事罰が適用される可能性も高いと思われます。

まとめ

たかが悪口と思っていても時と場合によっては、偽計営業妨害罪という立派な犯罪になります。

今は判例はほとんどないかもしれませんが、目に余る行為が続くようであれば、法改正によって規制強化と言うことも十分考えられます。

ネットの匿名性も度が過ぎれば匿名ではなくなるのです。

まずは個人レベルの悪口からやめることをおすすめします。

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