「悪口は言われる人にも非がある」と考える人がいます。
「火のないところには煙が立たない」と言われることがありますが、悪口を言われた人にも非があり、言われても仕方がないケースもあるでしょう。
しかし、中にはまったく非がなくても悪口を言われる人がいます。
今回は悪口を言われる人には言われて当然の理由があるのかについて考えてみます。
世の中は公正という考え方が悪口につながる
心理学には「公正世界の信奉」や「公正世界仮説」と呼ばれる考え方があります。
世の中は公平にできているので、人の行動には公正な結果が返ってくるという考え方をする人が、世の中の大半を占めるという理論です。
そしてこのことが、犯罪被害者を非難したり悪口を言われた人にも非があると責めたりする理由となっているのです。
なぜ犯罪被害者を非難するのか
性的被害に遭った女性に対して、男性を挑発するような外見をしていたのが悪いという非難を聞いたことがある人は多いでしょう。
もっと身近な職場では「仕事のチャンスは公平に与えられているのだから、成績が悪いのは本人の責任だ。」という考え方が主流のように感じられます。
被害者女性を非難する背景には、必ず自分の行いに見合った結果となるという考え方があります。
また、仕事ができないのはその人のせいという考え方にも、世の中は公正だという思い込みがあります。
同じファッションをしているのに被害に遭わない人もいます。
被害は外見のせいではないということはすぐに分かりますね。
男性が痴漢容疑をかけられる場合も同様に、たまたま被害者意識の強い女性がそばにいて偶然に電車が揺れてしまったことが原因かもしれません。
仕事のチャンスは公平と言いますが、相手のある仕事は取引先の状況といった偶発的な要素がたくさんあります。
その仕事を担当したときの社会情勢や景気に左右されることもあるでしょう。
つまり、チャンスが公正だという前提がそもそも間違っているのです。
しかし、こうした考え方をする人が多いと、犯罪の被害者にも悪い点がある、仕事ができないのはすべて本人が悪いという考えに結びついてしまうのです。
悪口を言われる人にも落ち度があるという考え方
世の中は公正だと考える人は、悪口を言われる人にも言われるだけの落ち度があると考えてしまいます。
その理由はある実験結果を見ると明らかです。
「公正世界仮説」を唱えた心理学者は最初にある実験をしています。
電気ショックを用いた実験ですが、被験者に記憶問題を間違えると電気ショックを与えられる人を見せます。
被験者は最初は驚いて動揺しますが、何度も見せられているとしだいに電気ショックを与えられた人を非難するようになるのです。
つまり、何度も電気ショックを受けた人はそれだけ無能なのだから、電気ショックを与えられてもしかたがない人だと評価したのです。
世の中は公正だと信じていると、結果が悪ければその結果を受けた本人も悪いという結論になってしまうのです。
世の中は公正ではないことは、よく考えなくてもわかることのはずです。
しかし、それを信じている人は、そうなってほしいという期待を事実とすりかえているのです。
「公平だから正しいことをしてきた自分はいつか報われるはずだ」という一種の宗教的な考えとも言えます。
公正さを信じる心が不公正さを生む
悪口を言われた人に対して「あいつは○○だから悪口を言われても仕方がない」という悪口を言ったとします。
悪口を言った人は公正性を信じているためこの悪口を言ったのですが、悪口を聞いている人にも公正性を信じている人が多いのです。
そのため、その悪口に賛同する人も多いことになり、悪口を言われた人なのに非難されたり、犯罪被害者が非難されたりします。
公正さを信じるあまり、公正ではない悪口を言ったり賛同したりする結果になります。
特に日本では「正しいことをしていればいつか報われる」という考え方をする人は多いように感じます。
この考え自体は誰も見ていなくても正しいことをすべきだと言う意味で、犯罪の抑制などに効果があります。
しかし、偶然やたまたま悪い結果になってしまった人を、すべてその人が悪いという結論にしてしまう危険性も高いのです。
まとめ
自分では正義感で人を批判したつもりでも、結果的に罪のない人を責めていませんか。
公正さを信じるあまり不公正な評価をしないためには、公正だと信じているものを疑うことから始めましょう。
世の中には本当の意味で絶対的な公正さは存在しないのです。
「公正世界仮説」とは人の行いに対して公正な結果が返ってくるという考えです。
例えば
・正義は勝つ
・努力は報われる
・悪いことをしたらバチが当たるこれらはすべて公正世界仮説になります。
公正世界仮説を信じることで前向きに生きることができたり、犯罪の抑制につながります。
(続く)
— ムソムソ心理学【人間関係の悩み】やっかいな人はこれで解決! (@yakkainahito) November 8, 2021
(続き)
しかし、公正世界仮説にはネガティブな面もあります。
公正世界仮説を信じるあまり
・悪口を言われる人は言われるだけのことをしたからだ
・犯罪に遭ったのは被害者も落ち度があったからだ
・障害を持って生まれたのは前世で悪いことをしたからだ
と考えるようになります。(続く)
— ムソムソ心理学【人間関係の悩み】やっかいな人はこれで解決! (@yakkainahito) November 8, 2021
(続き)
不幸な人を責めるのはやめましょう。一番悪いのは加害者や悪口を言った人です。
— ムソムソ心理学【人間関係の悩み】やっかいな人はこれで解決! (@yakkainahito) November 8, 2021
悪口は言う方が悪いです。
自分も言われるのは構わないですが言うのは嫌いです。
悪口を言うって事はその人の悪い面しか見てない訳でさほど仲が良くなくてもどこかしら良い面もあるはず。
悪口を言われる方が悪い。
いじめられる方が悪いって言っているようなものですね。
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